大手SNSがアカウント閉鎖 陰謀論者「アレックス・ジョーンズ」とは

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フェイスブックやYoutubeなどの大手ソーシャルメディアは、陰謀論者として知られるアレックス・ジョーンズ氏の運営するアカウントの閉鎖や停止措置を実施した。

閉鎖されたものには、ジョーンズ氏が設立し、自らパーソナリティを務めるニュースサイト「Infowars(インフォウォーズ)」のYoutubeチャンネルやフェイスブックページが含まれる。また、フェイスブックは個人アカウントも一時凍結したほか、アップルはジョーンズ氏のポッドキャストコンテンツをiTuneから削除した。対応についてFacebookは、暴力描写の規定に反するものや、ヘイトスピーチの規定に反する言動があったことを理由として発表している。

ジョーンズ氏は、7月に公開した動画で、少女売春の斡旋の罪に問われた米実業家のジェフリー・エプスタイン氏が、過去、FBIのロバート・モラー氏(現特別検察官)に情報提供を行う関係にあったと述べ、銃を撃つ仕草をしながら頭を撃つぞ、などと脅迫をしていた。

なお、Infowarsのウェブサイトは月間ビジター数が1,000万を超えるといわれ、閉鎖されたYouTubeチャンネルはおおよそ240万人のサブスクライバーがおり、過去30日間で1,700万回再生されていたという。

これらの強力なメディアを通じて、ジョーンズ氏が拡めてきたデマや陰謀論には、ミッシェルオバマ前大統領夫人が男性であるといったものや、9/11アメリカ同時多発テロ陰謀説。児童20人と大人6人が殺害された2012年のサンディ・フック小学校の銃乱射事件がやらせであったとする陰謀論、政府が気象をコントロールしているとする主張、ワシントンDCのピザ屋が児童売春組織の拠点となっており、ヒラリークリントン氏がこれに関与しているとする通称ピザゲート(Pizzagate)、今年2月のフロリダ州パークランドの高校銃乱射事件の犯人誤報などがある。

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これらのデマがトラブルや事件に発展し、ジョーンズ氏は度々問題視されてきた。ジョーンズ氏が強く後押しをしたピザゲートでは、これを信じた男性が、デマの対象となったピザ屋店内でアサルトライフル「AR15」を発砲する事件が起きた。また、サンディフック銃乱射事件で殺害された児童の親へ脅迫状を送った女性は、Infowarsがきっかけであったと代理人が語っている。

訴訟となるケースも多く、サンディフック銃乱射事件で子供を失ったLeonard Pozner氏は、自身の子供が存在していなかったというジョーンズ氏のデマにより、ジョーンズ氏の信者達から絶え間なくハラスメントを受けているとして、訴えを起こした。また、フロリダ州パークランドの高校銃乱射事件では、犯人であるとして画像や名前を誤って公開されたMarcel Fontaine氏が、名誉毀損でジョーンズ氏を訴えている。

ジョーンズ氏の政治スタンスは、オルト・ライトであり、トランプ大統領支持を表明している。2016年の大統領選挙キャンペーン中には、当時候補者であったトランプ氏がジョーンズ氏の番組に出演し、ジョーンズ氏の名声はすばらしい、と賛辞を贈った。また、大統領就任以降も、連絡を取る仲にあるなど、近しい関係であることを公言している。

なお、ツイッター社は、ジャック・ドーシー最高経営責任者が、ジョーンズ氏はルール違反を犯していないと語るなどし、アカウントは維持されたままとなっている。