黒人カップルに人種差別発言の白人女性 職場を解雇に ネットで賛否

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ブルックリンの公園で黒人カップルに差別的な発言をしたとされる白人女性が、職場から解雇されたことがわかった。雇用主がSNSで明らかにした。

問題があったのは今月25日。ウィリアムズバーグにあるマッカレンパークに婚約者と一緒に訪れたフレドリック・ジョセフ(Frederick Joseph)さんは、白人女性から警察に通報すると脅され、「自分たちの”フッド”にいなさい」と侮辱されたという。

フッドは、近所(neighborhood)のスラングで、スラム地区やそのコミュニティを指して使用される。

なおジョセフさんは作家で、昨年発売の処女作「The Black Friend」がニューヨークタイムズのベストセラーリスト入りしている。

ジョセフさんは、きっかけは、女性が大きな声で吠える犬をジョセフさんの飼い犬と勘違いしたからだと説明している。

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この発言を受け、ジョセフさんは携帯電話で女性を撮影し始めた。ツイッターに投稿された動画には、発言を確かめようとするジョセフさんに向かって、女性が中指を立てたり、携帯電話を払おうとしたりする様子が映っている。女性は発言を認めず、反対に「なんてこと。あなたは私にそのように言ったのですか?S–!」と聞き返しすなどした。ジョセフさんが、その場に居合わせ男性に確認を取ると、男性は「彼女は言ったよ」と、差別発言があったことを認めた。

その後、ネットユーザーによって女性の身元が特定された。ジョセフさんは一連のツイートの中で、女性の勤務先であるソフトウェア・プラットフォーム企業Bevyに連絡をしたと明かし「責任を取るとともに、従業員の人種差別的振る舞いを踏まえて、改善してほしい」と投稿した。さらに、女性の解雇が明らかになると「行動には責任が伴うことを理解し、良くなる機会としてほしい」とツイートした。

BevyのCEO、デレク・アンデルセン氏は26日、ツイッターで「あらゆる差別的行為は容認しない」と投稿。「昨日、従業員がわれわれの価値観に反する行動を取ったため、解雇した」と、処分を発表した。

一方女性は、人種差別的な意図や、警察に通報すると脅迫した事実はなかったと反論している。ニューヨークポスト紙の取材に、「あなたの”フッド”に戻って」というのは、近所にある別のドッグパークの意味だと説明。「地元の公園では、犬が攻撃的になった場合、オーナーはすぐに犬をどけて、穏やかな状態に保つのが暗黙のルール」と話した。一方、自分の発言が「どのように解釈されたかはよく理解している」と述べ、より慎重に言葉を選ぶべきだったと反省を示した。

ネットで賛否

ネットでは「彼女が職を失って、謝罪するのが待ちきれない」など女性に対する非難や「迅速な対応をありがとう」と解雇の判断を支持する声が上がった。

この一方で、「”フッド”は黒人に対する言葉だけのものではない。ゲットー(貧困地区)とか言ったら問題だが、そうは言ってない」と差別に当たらないと主張するコメントや、「ちょっとした侮辱で、他人の人生を台無しにした。それを誇りに思っているのは驚くべきことだ。彼女はバカだが、あなたも反社会的人間のように振舞っている」など、ジョセフさんの対応をやりすぎや、「自警主義」だと指摘する声も上がった。

企業に対しては「そもそも何に違反したのか説明してほしい。世の中は狂っている」「従業員から事情は聞いたのか?このビデオだけでは判断できない」「誰かの人生を終了させることなく、大人同士の問題を解決しなかったことを詫びるべきだ」「脊髄反射的な反応」など、判断の正当性に疑問視する意見も寄せられている。

なお昨年5月、黒人男性を警察に通報し「セントラルパークカレン」として非難を浴びたエイミー・クーパー氏も、事件発覚後に勤務先を解雇された。クーパー氏はその後、雇用主は黒人男性とのやりとりを十分に調査しておらず、人種と性別を理由に差別を受けたと主張し、勤務先を提訴している。