ウォルマート 雑誌コスモポリタンをレジ脇から撤去 #MeTooの動き受け

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米国に5,000店以上を展開する国内最大の小売店、ウォルマート(Walmart)は、女性誌コスモポリタン(Cosmopolitan)をレジのチェックアウトカウンター棚から、撤去することを決定した。雑誌は、人の目につきやすいレジ付近から、別の棚に移動され、継続して販売される。

1886年創刊のコスモポリタンは、複合メディア企業ハースト(Hearst)社の看板雑誌。ニューヨークポストによると、近年は発行部数が減少しており、2014年12月にニューススタンドやチェックアウトカウンターで月576,550部を販売していたが、昨年12月には67%減少の190,487部となっている。
米国での女性誌の売り上げは全体的に減少傾向(1冊単位での発行部数は、2015年以来20%減少)にあるが、コスモポリタンの販売数減少は、この数年、擁護団体によって展開されてきた小売店へのキャンペーンも一因にあるようだ。

撤去の背景には?

今回のウォルマートの決定の背景には、#MeTooムーブメントや、擁護団体による圧力が影響したと見られている。撤去を発表したのは、1962年に設立された反ポルノグラフィティーNPO団体の全国性的搾取センター(National Center on Sexual Exploitation)。元「Morality in Media」で知られる擁護団体だ。

同団体のエグゼクティブディレクター、ダウン・ドーキンス(Dawn Dawkins)氏は、「コスモは、プレイボーイのように、女性のセクシュアリティーについて同様のメッセージを送っている。女性の価値は、男性を性的に満足させるもので、男性が女性を性の対象物として扱うカルチャーの役割を担っている。」と反対する理由を述べ、「これは、#MeTooカルチャーにおける真の変化だ。NCOSEは、社会における性的搾取の影響に挑むため、ウォルマートのような大企業と協力できることを誇りに思う。」と声明で発表を行った。

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なお、最新号では、ラッパーのセシルB(Cardi B)を表紙に起用。「ヒートアップセックス特集」と題し、セックストイの使い方や、前戯のヒント他、ちょっとした浮気は罪になる?という記事を掲載。

ウォルマート コスモポリタン
@mushupNY

ニューヨークタイムズによると、同団体は2015年から、ドラッグストアのライトエイド(Rite Aid)や、食料品店のFood Lionにコスモポリタンの表紙を隠すように働きかけを行っていた。

同団体の副社長ハーレイ・ハルバーソン(Haley Halverson)氏は、バブルガムピンクの表紙やセレーナ・ゴメスなどのストーリーで若者を惹きつけながら、ポルノや危険なセックスの記事が多分に含んでいると同誌を非難している。

また、コスモポリタンを創刊し、ハーストの創業者であるメディア王ウィリアム・ランドルフ・ハースト(William Randolph Hearst)氏の孫娘、ヴィクトリア・ハースト(Victoria Hearst)氏は、コスモポリタンの販売規制活動に加わっており、彼女の尽力も功を奏したとみられる。ヴィクトリアさんは、キャンペーン「Cosmo Hurts Kids」(コスモは子供を傷つける)を展開し、18歳以下にコスモポリタンを販売しないよう働きかけている。

今年の秋には、フランシス・マクドーマンド主演の映画「スリー・ビルボード」(Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)をパロディとした巨大看板「Cosmopolitan Magazine Contains Porn Harmful to Kids」(雑誌コスモポリタンには子供に害のあるポルノの描写が含まれる)を掲げ、特設サイトwww.cosmohurtskids.comを開設した。

ウォルマートは、今回のレジ脇棚からの撤去に関して、「雑誌への懸念事項に関しては耳にしているが、ビジネス上の決定」としている。

ウォルマートの判断に反発も

今回の撤去に関して、疑問視する声も上がっている。元コスモポリタンの編集者Michelle Ruizは、コスモは以前からコンセンサスのある大人のセックスについて提唱をしており、内容は女性自身の性的な快楽についてシフトしているとVOGUEの記事で述べている。

最近の記事では、銃の規制強化と銃暴力への反対を訴えるデモ行進「March for Our Lives」を特集するなど、社会的な問題についても取り上げる傾向がある。

ウォルマートの判断は馬鹿げている。彼女たち自身で判断できる選択とセクシュアリティーに関する少女たちの知識を否定することで、レイプカルチャーにおけるセックスのフィードに関する率直な情報を検閲している。