パークアヴェニューにそびえ立つアメリカを代表するホテル「ウォルドルフ・アストリア(Waldorf Astoria)」が、86年の歴史に一旦幕を閉じることとなりました。同ホテルは、2014年にヒルトンワールドワイドから中国の保険会社「安邦保険集団(Anbang)」に売却されており、同社の発表によると、今後2年ほどの歳月をかけて改修工事が実施される予定です。計画では、現在ある1413の客室のうち、1000室を居住用とし、コンドミニアムとして生まれ変わることとなります。
ウォルドルフ・アストリアとは
ウォルドルフ・アストリアが現在の立地(301 Park Ave)にオープンしたのは、1931年。当時としては世界で最高層のホテルとされ、時の政権、ハーバート・フーヴァー第31代大統領は、ホワイトハウスから、同ホテルを米国の発展を象徴するものだとラジオで述べ、そのオープニングを祝したそうです。
以降、歴代大統領や各界の著名人、海外の元首や国王など、要人をもてなす場として利用されてきました。
Elizabeth II with Herbert Hoover (centre) at a lunch at the Waldorf Astoria on 1 October 1957: pic.twitter.com/gFvdbxad4K
— Arthur_S (@allanholloway) 2014年4月21日
#NEWYORK: RONALD REAGAN QUEEN ELIZABETH WALDORF ASTORIA @WaldorfAstoria @RoyalFamily @ronaldreagan40 @BarneysNY https://t.co/aG6eHnRIOM pic.twitter.com/Zitu3MDaom
— Cinema Seven Films (@sheilaballarano) 2016年12月29日
King Felipe & Queen Letizia of Spain with Barack & Michelle Obama at reception on Tues eve at Waldorf Astoria hotel: pic.twitter.com/Oos9F1wFsN
— Jordon-Lee (@JordonLee) 2014年9月24日
ゲストの写真には昭和天皇のお姿も収められています。
ホテルのレストランの人気定番メニュー「Waldorf salad」。現在の建物に移る前から料理長を務めていたOscar Tschirkyが1893年に考案した、ロングセラー。
The Waldorf Salad is as timeless as the Waldorf Astoria New York is elegant. #TasteOfWaldorf cc: @NYTFood https://t.co/JafxWONz3E pic.twitter.com/BP5fJjaKda
— Waldorf Astoria NY (@WaldorfNYC) 2017年2月25日
クラシカルで随所に繊細な装飾が施されたホテル内部。これまで、ジンジャー・ロジャース主演の「Week-End at the Waldorf」(1945年)や、「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」(1992年)、「ゴッドファーザー PART III」(1989年)、「セレンディピティ」 (2001)など数々の映画のロケーションにもなっています。
ホテルメインロビーの巨大な置き時計。1893年のシカゴ万国博覧会で購入されたもので、柱には歴代大統領の彫刻が飾られています。天辺で黄金色に輝く自由の女神像は、1902年にフランスより贈られたものだそうです。
ホテル西側のロビーに置かれていたスタインウェイのピアノは1910年代に製作された年代物。最終日に調律が行われていました。
ホテルの建物は1993年に市のランドマーク(歴史建造物)として指定されていますが、内装については現在、ニューヨーク市歴史建造物保存委員会によって検討が進められています。アール・デコ様式の美しい内観がどれほど保存されるのか、今後、注目されるところです。
Waldorf Astoria
301 Park Ave New York, NY 10022