ウォルドルフ・アストリア 歴代大統領に愛された最高級ホテル閉館へ

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パークアヴェニューにそびえ立つアメリカを代表するホテル「ウォルドルフ・アストリア(Waldorf Astoria)」が、86年の歴史に一旦幕を閉じることとなりました。同ホテルは、2014年にヒルトンワールドワイドから中国の保険会社「安邦保険集団(Anbang)」に売却されており、同社の発表によると、今後2年ほどの歳月をかけて改修工事が実施される予定です。計画では、現在ある1413の客室のうち、1000室を居住用とし、コンドミニアムとして生まれ変わることとなります。

ウォルドルフ・アストリアとは

ウォルドルフ・アストリアが現在の立地(301 Park Ave)にオープンしたのは、1931年。当時としては世界で最高層のホテルとされ、時の政権、ハーバート・フーヴァー第31代大統領は、ホワイトハウスから、同ホテルを米国の発展を象徴するものだとラジオで述べ、そのオープニングを祝したそうです。

以降、歴代大統領や各界の著名人、海外の元首や国王など、要人をもてなす場として利用されてきました。

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ゲストの写真には昭和天皇のお姿も収められています。

WALDORF ASTORIA
©mashupNY

ホテルのレストランの人気定番メニュー「Waldorf salad」。現在の建物に移る前から料理長を務めていたOscar Tschirkyが1893年に考案した、ロングセラー。

クラシカルで随所に繊細な装飾が施されたホテル内部。これまで、ジンジャー・ロジャース主演の「Week-End at the Waldorf」(1945年)や、「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」(1992年)、「ゴッドファーザー PART III」(1989年)、「セレンディピティ」 (2001)など数々の映画のロケーションにもなっています。

Waldorf Astoria New York
©mashupNY
Waldorf Astoria New York
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Waldorf Astoria New York
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ホテルメインロビーの巨大な置き時計。1893年のシカゴ万国博覧会で購入されたもので、柱には歴代大統領の彫刻が飾られています。天辺で黄金色に輝く自由の女神像は、1902年にフランスより贈られたものだそうです。

Waldorf Astoria New York
©mashupNY
Waldorf Astoria New York
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ホテル西側のロビーに置かれていたスタインウェイのピアノは1910年代に製作された年代物。最終日に調律が行われていました。
Waldorf Astoria New York

ホテルの建物は1993年に市のランドマーク(歴史建造物)として指定されていますが、内装については現在、ニューヨーク市歴史建造物保存委員会によって検討が進められています。アール・デコ様式の美しい内観がどれほど保存されるのか、今後、注目されるところです。

Waldorf Astoria

301 Park Ave New York, NY 10022