エプスタインの遺言執行人 犠牲者間の強制結婚を手助け、米ヴァージン諸島司法

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ヴァージン諸島の司法当局は12日、故ジェフリー・エプスタイン被告の遺産財団や関連企業に対する民事訴訟について、修正訴状を提出したと発表した。

デニース・ジョージ司法長官は声明で、訴状に「司法長官室が捜査によって得た追加の情報を提示した」と述べ、「被害者、政府、住民がふさわしい回答を得られるよう、すべての措置を講じる」と発表した。

訴状には、新たにエプスタイン・エステートの遺言執行人であるDarren K. Indyke氏とRichard D. Kahn氏を被告に追加し、2人の犯罪への関わりを記載した。2人は、滞在資格を確保する目的で、犠牲者同士を結婚させることを助けるなど、実質的に、人身売買ネットワークの運営や資金活動のすべてに直接的に関与したと指摘。エプスタイン犯罪の「キャプテン」としての活動が明らかになったとしている。

ニューヨーク・デイリーニュースによると、76ページにおよぶ訴状の中で、ジョージ司法長官は、外国から連れてこられた犠牲者の強制送還を回避するため、2人が、国内の犠牲者との偽装結婚を少なくとも3件アレンジしたと主張。「彼らは、この忌まわしいスキームを実行するため、専門的なスキルと権威を使用した。Indyke氏とKahn氏は、いわば、エプスタイン犯罪企業の必要不可欠なキャプテンであり、この役割から彼らは高額の報酬を受けた」と記した。

また、犠牲者らは「結婚を拒んだり、終わらせようとしたりすれば、名誉または身体的危害など、報復があることを理解していた」と説明。Indyke氏とKahn氏は「法的および会計処理をして、偽装の強制結婚を意図的に助けた」と批判した。「エプスタインがこれらの犠牲者を支配し、性的虐待を続けることを可能としたのだ」と主張した。

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同紙によると、Indyke氏はエプスタイン氏と長年の関係にあり、Kahn氏は、一部で「エプスタインのおかかえ弁護士」と指摘されている。またエプスタイン氏が自殺した当時に恋人だったKaryna Shuliak氏は、告発者の1人と2013年に結婚していたという。

被害者の弁護を務めるSigrid McCawley氏は以前、「エプスタインの国際的セックス・トラフィッキングは数え切れないほどの少女に危害を与え、これらの偽りの同性婚は、エプスタインの人身売買の運営に基本的かつ重要な意義を果たしていた」と指摘している。

訴状にはこのほか、リトル・セント・ ジェームズ島でエプスタイン氏やゲストと性行為を強制された複数の犠牲者の経験が新たに追加された。ある犠牲者は、英語を話すことができない大勢の少女や若い女性が、エプスタイン氏といるのを目撃したと証言しており、これらの少女について「あまり喋らないために、エプスタインのお気に入りだった」と話したという。

2020年1月に提出した元の訴状で、ジョージ司法長官は、エプスタイン氏は、性的人身売買スキームを主に島で実行していたと主張。犯罪は2018年まで島で行われ、数百人が被害にあったとし、中には11歳の少女もいたと説明した。エプスタイン氏の所有するリトル・セント・ ジェームズ島とグレート・セント・ジェームズ島を含む不動産を没収し、犯罪のフロントとして機能していたシェルカンパニーを解散することを求めていた。