露タグボートに「ハープーン対艦ミサイル」命中か

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ウクライナ海軍は17日、黒海を航行するロシア艦隊のタグボートを爆撃したと発表した。

攻撃を受けたのは「Vasily Bekh」とよばれるタグボート。スネークアイランドに弾薬、武器、人員を輸送中だったという。

ウクライナのメディアによると、Vasily Bekhは、通常は船舶の曳航、消化活動、水のくみ出し、乗組員の避難や応急手当てなど救助活動に従事する船舶だという。2017年1月に海上公試に合格し、同年3月に正式に黒海艦隊に加わった。全長57mで、乗組員26人に加えて負傷者など36人を運ぶことができる。「トール」 対空ミサイルシステムを搭載しているという。

ウクライナ軍の南部作戦指揮は、攻撃を受けたタグボートは「浮かぶ炎の塊」に化したとしており、予備的分析では乗員の70%が死亡したと発表している。

ロイター通信によると、ウクライナ軍当局はテレグラムで、ビデオとともにハープーン対艦ミサイル2発が命中したと明らかにした。同国が、西側が供与した兵器でロシアの艦船を爆撃したと発表するのは初めてだという。

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↓バイラクタルTB2無人攻撃機から撮影されたとされる映像。

一方、オデーサ州のマルチェンコ知事は、当初、ハープーンが使用された発表したが、後に投稿を修正し、兵器の名を削除している。一部では、イギリスの提供した「ブリムストーン」と呼ばれるミサイルとの情報もあり、種類をめぐって情報が錯綜している。

ハープーンは、1975年にマクドネル・ダグラスが開発した対艦ミサイルで、同種の物としては西側で最も使用されている兵器だという。コストは150万ドル(2億円)と比較的廉価で、これまで7,000発以上が生産され、約30カ国が使用しているという。攻撃目標にレーダー波を照射して目標を追跡する方式で、戦闘機や地上、潜水艦から発射するものなどバリエーションがある。

ロイターは先月28日、ウクライナがデンマークからハープーンを受け取り始めたと伝えていた。なお、今週バイデン政権が発表したウクライナの追加支援10億ドルには、ハープーンの車載発射装置が含まれている。

ウクライナ軍は3月にも、ロシアの黒海艦隊の旗艦「モスクワ」に対し、自国の巡航ミサイル「ネプチューン」による攻撃が成功したと発表している。一方、モスクワは旗艦に積んであった火薬から発火したと主張。ミサイルによる攻撃を否定しつつ、損傷が激しく、港に曳航される最中に沈没したとしている。