ウクライナ人気ゲームの開発者 バフムートの戦闘で死去

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ウクライナ国防省は26日、人気ロールプレイングゲーム「S.T.A.L.K.E.R」の開発者がバフムートで戦死したことを明らかにした。

「@stalker_thegameの開発者の一人、ウォロディミル・エジョフが、ロシアの侵略者からウクライナを守るために、バフムート近くの戦闘で死亡した。ウォロディミルは二人の息子の父親だった。英雄に永遠の栄光を!」

訃報を受け、S.T.A.L.K.E.Rの公式ツイッターアカウントは「ウォロディミルは、われわれにたくさんのゲームとユニバースを与えてくれた。プレイヤーたちはいつまでも彼を忘れない。ありがとうウォロディミル」と投稿。「ウクライナはもう一人の英雄を失った」と死を嘆いた。

「S.T.A.L.K.E.R」は、ウクライナのゲーム開発企業「GSC Game World」が手がけ、2007年にPC向けを初めてリリースしたファーストパーソン・シューティングゲーム。シリーズ新作「S.T.A.L.K.E.R 2 ハート・オブ・チェルノブイリ」のリリースを年内に予定していが、ロシアによるウクライナ侵攻により中断を余儀なくされた。

同社は5月、YouTubeに投稿した動画で、それまでの制作の様子を伝えるとともに、「われわれの国は再び存亡をかけた戦いを余儀なくされた。自由の代償というものだろう」と説明。「われわれは、従業員と家族が生き残るのを助けようと務めている。ゲーム開発は二の次となったが、勝利した後、必ずや続ける」と報告した。

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東部ドンバス地域にある都市バフムートでは、5月以来両軍が支配をめぐる戦いを繰り広げてきたが、11月に激しさを増し、第一次世界大戦さながらの「血みどろの塹壕戦」に発展していると報じられている。

21日に電撃的な訪米を果たしたゼレンスキー大統領は議会演説で、前日にバフムートで戦う兵士らを訪問したと明かした上で「ロシア軍と傭兵らは、5月からバフムートをノンストップで攻撃している。昼夜を問わず攻撃をしているが、しかしバフムートは持ちこたえている」と説明。「その土地の隅々が血に染まり、銃の轟音がなり続けている。熾烈な戦闘により塹壕の持ち主が1日に数回入れ替わる。肉薄戦さえ行われている。しかしながら、ウクライナのドンバスは持ちこたえている」と、米国の議員らを前に語った。最後は、バフムートの兵士らが託した寄せ書き入りのウクライナ国旗を、ハリス副大統領とペロシ下院議長に手渡し、演説を締めくくった。