3日、イランの外務省のカナニ報道官は、同国のロシア軍に対するドローン兵器供与の疑惑を否定した。
テヘランの通信社Mehrによると、カナニ氏は、ドローン供与の報告は根拠がないと主張。紛争開始以来、「中立の立場」で、「戦争への反対、紛争2国間による政治的解決の必要性、暴力の回避の必要性」を訴えていると説明した。ロシアがウクライナ東・南部4州を併合したことにも触れ、「国際法にある基礎的な法則として他国の領土保全の原則を十分に尊重する必要性、国連憲章の目標を尊重することを強調してきた」と話した。同社は、カナニ氏が会見中「NATOの挑発で始まった紛争が続いていることに遺憾の意を表明した」と伝えている。
ウクライナ国防省はこの日、イラン製ドローン「Mohajer-6」の写真を投稿。イランの大使が供与を否定したことに言及しつつ、数日前にオデッサを攻撃するために使用されたとコメントした。
Recently, in response to a note from the Ministry of Foreign Affairs of Ukraine, the ambassador of Iran stated that his country has not supplied drones to russia.
— Defense of Ukraine (@DefenceU) October 3, 2022
Here is the Iranian drone Qods Mohajer-6, which was launched to coordinate an attack on Odesa a few days ago. pic.twitter.com/C5Ep0kj7GZ
同省は先月中旬にも、ウクライナ軍が、イラン製の自爆型ドローン「Shahed-136」を破壊したと写真付きで投稿。ロシアによる実戦での使用が開始されたことを示すものだとして、注目を集めた。
Iranian attack UAV Shahed-136, eliminated by the #UAarmy near Kupiansk, Kharkiv region.
— Defense of Ukraine (@DefenceU) September 13, 2022
🇷🇺 and 🇮🇷: A perfect union of two despots.
📷 @kms_d4k pic.twitter.com/M7sQ9PX1hJ
投稿された翼の一部の画像には、英語表記に直すと「Geran-2」と記されている。Geranは「ゼラニウム」の略で、ロシアでは砲に花にちなんだ名前をつける伝統があるという。
AP通信によるとイランの「Shahed」には複数のバージョンが存在する。これまでイランが支援するイエメンの反政府勢力によって、サウジアラビアの石油施設の攻撃に使用されたほか、2021年にオマーン沖でタンカー攻撃を受け、2名が死亡した際にも使われたとみられている。
三角翼を持ち、射程距離は2,500キロメートルあると考えられている。2021年の軍事演習の際の映像に登場するが、詳細はほとんど知られていないという。
ロシアは最近になってイラン製ドローンの使用をエスカレートさせており、クリミアや南部の占領地域で、推定数百台を配備しているとも伝えられている。
イラン側の主張に反して、ジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障担当)は7月にホワイトハウスで行った会見で、イラン政府がロシアに武器搭載可能なものを含む数百機の無人航空機を、迅速に提供する準備を進めている可能性があると発表している。
先月8日には、財務省がロシアへの無人機供与に関与したとして、イランの航空輸送企業を制裁対象に指定すると発表した。同省は同時に、イスラム革命防衛隊のためのドローン兵器の研究開発、製造や調達に関わった3社と一人の人物にも制裁を課すと明らかにした。
米国防省のラプランテ国防次官(調達・維持担当)とベーカー国防次官(政策担当)は先月30日の会見で、ロシアのオペレーターが、ドローンの操作訓練を受けるためにイランに送られたと説明。一方、イラン製ドローンが、ウクライナの戦地で、多く故障している証拠を目にしているとも語った。