言論の自由絶対主義者はどこへ?トルコでの検閲めぐってイーロン・マスクに非難 

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14日に実施されるトルコの大統領選を目前にして、ツイッターが、同国で一部のコンテンツへのアクセスを制限すると発表。言論の自由絶対主義者を標榜するイーロン・マスク氏に非難の声が相次いだ。

同社は12日夜、「法的手続きへの対応とトルコの国民がツイッターを利用し続けられるよう、われわれは本日、トルコで一部のコンテンツへのアクセスの制限を実施する」と発表した。

制限対象を明らかにしていないが、ブルームバーグのコラムニスト、マシュー・イグレシアス氏は、トルコ政府が政敵を検閲するよう要望したと主張。「イーロン・マスクは、興味深いツイッターファイルズを作成する必要がある」と皮肉った。ツイッター・ファイルズは、マスク氏が自らジャーナリストに指示し、買収前のツイッターの内部体質やコンテンツモデレーションの裏側に迫ったレポート。

別のユーザーは「イーロン・マスクは、世界中のいかなる政府も、締め出すと脅すだけで投稿される内容を完全に管理できると明白に述べている」と指摘。「イーロン・マスクにとっては、言論の自由の原則的なスタンスをとるより、独裁者エルドアンにひざまづく方が良いのだ」と非難した。

ワシントンポスト紙によると、再選を目指すエルドアン大統領の下、国内メディアの多くが政府の管理下にあるほか、一部で、反対派の声を抑え込むためにSNS企業を取り締まっているといった批判が上がっている。

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20年におよぶ長期政権を築いたきたエルドアン氏だが、世論調査では、野党6等の統一候補として立候補したクルチダルオール氏と、かつてない接戦を繰り広げているという。

イグレシアス氏の投稿にマスク氏は反論するも、これがさらなる批判を招く結果となった。

マスク氏は「イグレシアス、脳みそが頭から落ちてしまったのか?」とコメント。続けて「ツイッターを全面的に規制するか、一部のツイートへのアクセスを制限するか、どちらかの選択だ。どっちがいいんだ?」と問いかけた。

トルコ政府からの要望を暗に認めたかのうようなコメントだが、これに保守系のデジタルメディア、The Dispatchの編集長、ジョナ・ゴールドバーグ氏は「選挙前夜に政府への反対派の投稿を締め出すのは最適ではない」と批判。全面的に遮断される方が、トルコの有権者が独裁色や政府が国民に強いるコストを理解できるようになると主張した。

テクノロジー系のジャーナリスト、テイラー・ローレンツ氏は「選択は、選挙直前に政府に言論の自由の検閲を許すか、拒否して人々の表現の自由を守るかのどちらかだ」と指摘。インターセプトのワシントン支局長、ライアン・グリム氏は「かつてのTwitterは、これらの要求の半分を拒否していた。完璧ではないが、新ツイッターは100%従っている」と指摘しつつ、「世界中で右派政権を助けるプラットフォームを買いたいのならば、胸を張ってそういえば良い。君の金だ。そうしたまえ。でも言論の自由の話だけは勘弁してくれ」と投稿した。

これとは別に、マスク氏が12日に発表した新CEOの人選をめぐり、現在、マスク体制での変化を歓迎していた保守派のファンから不満の声が飛び交っている。