トランプ氏 「平和的な権力移行」ビデオを後悔?辞任しない意向も、政権は「事実上の修正25条」状態

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トランプ大統領は、議事堂に乱入したプロテスターらを非難し、平和的な権力移行を約束したことを後悔しているという。ニューヨークタイムズが伝えた。

議会によるバイデン氏の次期大統領認定を阻止しようと、トランプ支持者らが議事堂に乱入した事件の翌日、トランプ氏はツイッターに投稿したビデオで「すべてのアメリカ人と同様、わたしは暴力と無法、騒乱に憤慨している」と述べ、「暴力と破壊行為に従事した者は、われわれの国を代表する者ではない。法を犯したものは、代償を払うことになろう」と非難。「1月20日には新政権が就任する。私の目下の焦点は、秩序のある、円滑な権力の移譲にある」と発表した。

事件後、トランプ氏は暴動を扇動したとして、辞任や憲法修正第25条発動による解任を求める声が高まっている。民主党指導者らは、ペンス副大統領に修正25条を用いた解任を要求。週明けには下院で弾劾決議案を提出計画が報じられている。すでに複数の閣僚が辞任を発表したほか、ウィリアム・バー前司法長官はトランプ氏を「職務と支持者への裏切り」と批判するなど、身内からの非難も強まっている。

タイムズによると、側近らが諦め、大統領後の展望に暗雲が漂っているにも関わらず、トランプ氏はホワイトハウスの中で、政界にとって強い勢力であり続けると豪語。辞任しない意向を鮮明にし、平和的な権力移行と議事堂の暴動を非難したことを後悔しているという。

トランプ氏は当初、支持者らに否定的な考えを示すことに反対していたが、周囲の説得によってビデオを収録することに同意したという。パット・シポローネ大統領法務顧問やマーク・メドウズ大統領首席補佐官、娘のイバンカ氏らが説得を試みた。シポローネ氏は、トランプ氏は暴動を扇動したとして法的責任を問われかねないと警告。他の弁護士とともに、退任後に、トランプ一家が多方面からの法的リスクにさらされる可能性があることをトランプ氏に理解させようとしたという。

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州兵要請はペンス氏?

トランプ氏はビデオで「わたしは、建物の守りを固め、侵入者を追い払うために直ちに州兵と連邦法執行機関を配備した」と述べたが、ワシントンポスト紙は、トランプ氏は州兵配備に関する国防総省の指導者との協議から離れていたと伝えている。

関係者によると、ペンス副大統領が与野党指導部とともに、クリストファー・ミラー国防長官代行とマーク・ミリー統合参謀本部議長に、軍配備について直接話をしたといい、トランプ氏は完全に関わっておらず、「彼らに連絡しようとしなかった」という。

さらに、大統領に近い顧問は、トランプ氏は当初、テレビで暴動の様子を見ていたが、「下層階級と彼が考えるところのみすぼらしいコスチュームの人々が議事堂を歩き回る姿を見て、興味を失っていた」と様子を語っている。

閣僚はトランプ氏を無視、「事実上の修正第25条」状態

Axiosのジョナサン・スワン氏は8日、MSNBCのインタビューで、残りの閣僚らは現在「あたかも大統領が存在しないかのように担当省庁を運営」しており、「ある種、事実上の修正第25条だ」と伝えた。

多くの高官はトランプ氏を「無視」しており、声がかからないようホワイトハウスに近寄らないようにしているという。スワン氏はまた、閣僚らは、危険かつ違法な指令は、完全に拒否することを決意していると様子を語った。