「もっとも恥ずべき行い」米露首脳会談に共和党内からも非難噴出

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ヘルシンキでトランプ大統領とロシアのプーチン大統領の首脳会談が開催された。会談後、両国首脳による共同記者会見が行われたが、トランプ大統領の発言を巡り、米国内で批判が噴出している。

会談では、ロシアの2016年米大統領選への介入について、トランプ大統領がプーチン大統領に対して説明を求めるなど、強い姿勢で臨むことが期待されていた。米情報機関は調査の結果、プーチン大統領が米大統領選への介入を指示したと結論づけており、上院情報委員会はこれを認めている。また、会談3日前には、モラー特別検察官が、民主党のコンピューターなどをハッキングした疑いでロシアの軍関係者12人を起訴している。

しかしながら、トランプ大統領は記者会見で、ロシアの大統領選介入について、「ロシアとの共謀はない」と従来の主張を繰り返し、「(米国の)情報機関に多大な信頼を寄せているが、プーチン大統領は、これ以上ないほど力強く否定した。」と発言。「なぜロシアがするのか理由が見当たらない」など、プーチン大統領の側に立つ発言を行った。

自国の捜査機関や議会の結論よりも、ロシア側の主張を優先する発言に対し、身内の共和党議員から強い非難声明が寄せられた。

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ジョン・マッケイン上院議員( 共和党、アリゾナ州)は、「私が知る限り、アメリカ大統領によるもっとも恥ずべき振る舞いである。トランプの騙されやすさ、利己主義、誤った論理、独裁への同情が引き起こすダメージは計り知れない。ヘルシンキ会談は、確実に悲劇的過ちであった」と述べ、「圧制者を前に、これほどまで惨めに自身を貶めた大統領はかつていない」と強く非難した。

ポール・ライアン議長(共和党、ウィスコンシン州)は、「ロシアが我々の選挙に介入し、我が国と世界の民主主義を傷つけようと試みているのは疑いの余地がない。これは米国の情報機関だけでなく、議会委員会が認めるところである。」と発言。さらに「ロシアは、我々の最も基礎的な価値と理想に対し敵対的でありつづけている。米国はロシアに対し、説明責任を求め、民主主義にたいする汚い攻撃に終止符を打たせなければならない。」と語った。

マッケイン議員と親しいリンゼー・グラム上院議員(共和党、サウスカロライナ州)は、会談で大統領選介入疑惑に踏み込めなかった事に対して、「機会を逸した」とし、大統領の行いを「問題を解決するどころか、さらなる問題を引き起こす」と発表。

かつて、トランプ大統領も信頼を寄せてきたオリン・ハッチ上院議員(財政委員長、共和党 ユタ州)は、「ロシアの2016年大統領選への介入は、米国情報機関の結論を土台に事実として扱わなければならない」とツイート。

トランプ大統領に批判的な姿勢を示す、共和党のベン・サッセ上院議員(ネブラスカ州)は、「両国の関係悪化の責任を負っているという大統領の主張に対し、奇妙で全くもって誤っている」と非難。
「プーチン大統領と彼の犯罪者らは、ソビエトスタイルの侵略に責任を負っている。大統領がこれらのモラルと同等のゲームを行うときは、プーチンが最も欲しているプロパガンダ的な勝利を与えるだけだ」としている。

引退を発表している上院議員のジェフ・フレーク(アリゾナ)氏も大統領のパフォーマンスを「恥ずべきだ。」と呼んだ。

2012年大統領選の共和党候補で、今年、ハッチ上院議員の後継としてユタ州から上院選に出馬するミット・ロムニー(Mitt Romney)氏は、「アメリカの諜報機関に関して、プーチン側につくというトランプ大統領の決定は、我々の民主主義の原則に対して有害かつ不名誉である。」と述べた。

トランプ大統領の支持者で元下院議長の政治家、妻がバチカンの大使を務めるニュート・ギングリッチ(Newt Gingrich)氏は、「大統領として、最も重大な過ち」として、直ちに路線の変更をすべきだとしている。