マンハッタン地検が調査中のトランプ氏の代表的ビル、利益低迷で金融機関も警戒

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トランプタワーなど、トランプ氏がマンハッタンに所有する代表的な4つのビルのうち、3棟の債務が、金融機関の「警戒リスト」に指定されているという。CBSニュースが伝えた。

CBSは、パンデミックの影響があるとしつつ、トランプ氏がニューヨークで運営する不動産は、以前から不振が続いていたと指摘している。これら4つのビルは、5年連続で融資元の利益予測を下回っているという。

ウォールストリートジャーナルは2月、トランプ氏の刑事捜査の一環で、マンハッタン地検これら4物件に関する融資を調査していると報じている。

トランプ氏のビルなどに対する商業用不動産ローンは、これらをひとまとめにした証券化商品(商業用不動産ローン担保証券 CMBS)となって、市場に流通されている。トランプ氏の4つの物件は、一度もCMBSの目標収益を満たしたことがないという。

5番街にある60階建のトランプタワーは、2012年に銀行が融資を引き受けた際、年間2,000万ドルの利益を予測していたが、過去9年間、これに到達したことはないという。2019年の利益は1,300万ドルで、2020年は最初の9カ月で1,200万ドルだった。

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コロンバスサークルにあるトランプ・インターナショナル・ホテル&タワーについて、信用格付け機関のクロール・ボンド・レーティング・エージェンシーは1月、これに関連する抵当付き負債を、業績の悪化を理由に「懸念のある融資」に指定した。昨年の最初9カ月間の物件の利払い後の利益は5万2,325ドルで、前年から80%以上低下した。トランプ氏には年間27万ドルの利息を含む、6,500万ドルの負債があるという。

TRUMP TOWER
トランプ・インターナショナル・ホテル&タワー ©mashupNY

このほか、ウェルズファーゴは昨年の大統領選から3日後に、フィナンシャル地区にあるアールデコ様式の高層ビル(40 Wall St.)に関連する融資を警戒リストに入れたという。トランプ氏の企業は、2025年半ばに返済期限を迎える1億3,500万ドルの債務を負っているという。

同ビルの稼働率は2015年の98%から昨年9月には87%へと低下しており、昨年の賃貸収入は500万ドル減少する見通しだという。パンデミック中、テナントの離脱を防ぐために値引きを提供したというが、ニューヨークガールスカウトは今年1月、契約満了の2029年を待たずに解約する意向を示している。同組織は年間65万ドルの賃料を支払っているという。

アッパーイーストサイドにある商業物件とコンドを合わせたトランプ・プラザについて、PNC銀行は昨年12月に警戒リストに指定した。トランプ・オーガニゼーション昨年5月、コロナウイルスに関連する苦境を理由に、PNCに救済ローンを求めたが、認められなかったという。今年2月に、警戒リストから外されたが、理由は示されていないという。

CBSは、トランプ氏の企業は、これらの物件に関して利息の払い漏れをしておらず、債務不履行や、差し押さえまたは強制競売によって資産を失う危険はないとしている。

なお海外のゴルフコースやホテルを含む、トランプ氏のビジネス全体の昨年の収益、40%減の2億7,800万ドルになったと伝えられている。