トランプ氏、2016年に納めた連邦所得税わずか8万円。 NYタイムズ「大物を演じることに成功」

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トランプ氏は大統領になる前の15年間のうち、10年間は損失が収入を上回り、連邦所得税を支払っていなかった。さらに2016年と2017年の納税額は750ドルだったことがわかった。ニューヨークタイムズが報じた。

同紙は記事について、トランプ氏とトランプ・オーガニゼーションを構成する企業数百社の過去20年以上におよぶ納税申告書のデータをもとにしたものと説明。今回は2018年-2019年のデータは含めておらず、今後数週間で追加の記事を公開するとしている。

ゴルフコースからホテルまで、トランプ氏のコアビジネスのほとんどが、毎年数百万ドルの損失を出していたという。2012年に1億5,000万ドルで購入したマイアミ「ドラール・リゾート」は、2018年まで合計1億6,230万ドルの赤字を計上。さらに今後3年で、ローン1億2,500万ドルが返済期限を迎えるという。またヨーロッパにある3つのゴルフコースは、合わせて6,360万ドルの損失を出したほか、2016年にオープンしたワシントンのホテルは、2018年にかけて5,550万ドルの損失を計上した。

トランプ氏にとっては1983年に竣工したトランプタワーが最初の成功であり、以来これを超える成功は収めていない、とタイムズは報じている。

さらに、トランプ氏は今後4年以内に3億ドルのローンが返済期限を迎えるほか、7,290万ドルの税金の払い戻しを巡って国税庁の監査を受けており、不当とみなされた場合、1億ドル以上の支払いを命じられる可能性があるという。

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不動産事業以外では、ホストを務めたリアリティー番組「アプレンティス」で、これに伴うライセンス契約などで、2018年までに合計4億2,740万ドルを得た。また共同オーナーを務めていた時代、ミス・ユニバースは過去最大の利益を生み出したという。タイムズは、トランプ氏は「この大半を、主にゴルフコースなどのビジネスに投資した」と指摘している。

トランプ氏は2017年に750ドルを国に納める一方で、海外政府により多く納税していた。パナマに1万5,598ドル、インドに14万5,400ドル、フィリピンに15万6,824ドルを支払ったという。

タイムズはさらに、納税記録は「実際または潜在的な利益相反」を明らかにする可能性があると指摘。トランプ氏のホテルやリゾート事業が「ロビイストや外国政府高官、面会を求める人々から資金を直接集める市場」になっており、記録には、これらの取引における正確な金額が記載されていると報じている。

また、2010年から2018年のトランプオーガニゼーションの記録には、ほぼすべてのホテル関連のプロジェクトで、2,600万ドルの「コンサルティング費」が計上されているなど、奇妙なパターンが見られると指摘している。このうちバンクーバーとハワイのプロジェクトで支払われたコンサルティング費は、娘のイバンカ・トランプ氏が、共同所有するコンサルティング企業から得た金額と一致しているという。

タイムズの記者は「結局のところ、トランプ氏は現実の生活ではビジネスの大物ではなく、大物を演じることに成功してきたのだ」と述べている。

トランプ大統領は否定

トランプ大統領は、同日のホワイトハウスの記者会見で、ニューヨークタイムズ記事を「完全なフェイクニュースで、でっちあげだ」と否定。「私は実際に税金を納めている。現在監査中の私の納税申告書は、君達もまもなく閲覧することができる。」と述べ、「国税庁はわたしをよく扱っていない。ティーパーティーのような扱いで、一度もよく扱われたためしがない。非常に悪く扱われている。」と語った。