トランプ氏 性的暴行疑惑がらみの名誉毀損訴訟。次の展開は

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キャロル氏への性的暴行疑惑

キャロル氏の説明によると、2人は1990年代半ばにバーグドルフ・グッドマンの店内で遭遇した。互いの面識はなかったが、当時テレビ番組で司会をしていたキャロル氏に気づいたトランプ氏から、女性へのプレゼント選びを手伝って欲しいと頼まれ、2人で店内を回った。下着売り場に行き着いた時、ボディースーツを試着するように言われた。試着室に入ると、トランプ氏がドアを閉め、キャロル氏を壁に追いつめ、ズボンのジッパーを下げて性的暴行を加えた。

キャロル氏は当時、事件のことを友人2人に打ち明けたが、トランプ氏が富豪で有名人だったことから、報復を恐れて通報しなかった。しかし約20年を経て、MeToo運動でセクハラ告発の機運が高まったことに影響を受け、公表を決意。2019年6月、ニューヨークマガジンに自著「What Do We Need Men For? A Modest Proposal」の一部を使用し、事件を詳細に記した特集記事を発表した。記事に掲載された写真では、雑誌側の意向で事件当日に来ていたダナ・キャランの黒のドレスを着用した。キャロル氏は事件後、このドレスを保管していた。

ドレスから男性のDNA

弁護側は、トランプ氏のDNAサンプルを採取することを望んでいる。

2019年に訴訟を提起した際、弁護人のキャプラン氏は、キャロル氏が当日着用していたドレスを法医学検査に回した。結果、精液は検出されなかったが、肩と袖の部分に男性のDNAが検出されたという。これがトランプ氏のDNAと一致した場合、性的暴行の証拠とはならないものの、トランプ氏のキャロル氏と会ったことがないという主張が崩れる。

キャロル氏は、DNAがトランプ氏のものだと確信しており、裁判で証言する機会を望んでいる。性的暴行疑惑を公にして以来、殺害予告を受け取るなどしたことから、キャロル氏は、眠るときには常にそばに銃を置いているという。キャロル氏は訴訟について、自分だけでなく、トランプ氏からセクハラ被害に遭いながら「声を上げられない」女性たちのためだ、と話している。

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その他のセクハラ疑惑

トランプ氏がホストを務めたリアリティー番組「ジ・アプレンティス」の出演者だったサマー・ザーボスさん(Summer Zervos)も、トランプ氏をセクハラ疑惑絡みの名誉毀損で訴えている。ザーボスさんは、2007年にニューヨークとロサンゼルスのホテルで仕事のオファーについてトランプ氏と話し合った際、キスをされたり、体を触られたりしたと2016年に告発した。トランプ氏はこれを全面否定。ザーボスさんを嘘つきだなどと非難した。翌年、ザーボスさんはトランプ氏を提訴した。

トランプ氏は一審で大統領の免責を主張したが認められず、ニューヨーク州の高等裁判所に控訴している。ザーボスさんは今年2月、審理を再開するよう裁判所に申し入れており、このケースも今後、急速に進展する可能性がある。

このほか、トランプ氏からセクハラを受けたと告発した女性は20人を超える。被害者には、1997年の全米オープンテニスの試合会場で性的暴行を受けたという元モデル、2006年に体をまさぐられたと告発した元ミスユニバースの出場者、2005年にトランプ氏のリゾート地マール・ア・ラーゴで無理やりキスをされたと主張する記者などがいる。トランプ氏は全ての疑惑を否定している。

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