トランプ氏 推薦候補ふるわずメラニア夫人に八つ当たり

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8日に実施された中間選挙では、集計中のレースが残っているものの、民主党が善戦。下院は大敗を免れる見通しで、上院の多数派をかけた争いは両者一歩も譲らない展開となっている。

共和党有利とされていた選挙区や勝敗をわけるとみられた重要な選挙区で、トランプ氏が関与した候補者が苦戦するケースも多く、今回の成果を影響力の証として、2024年大統領選の出馬につなげたいトランプ氏にとっては望ましくない結果となった。

本人も、Truth Socialの投稿で「個人的な見解では大勝だ」としつつ「昨日の選挙にはある意味がっかりした」と認めた。

下院では、現在の時点で435議席のうち390議席が確定し、民主党183議席、共和党207議席となっている。

35議席が改選される上院では、手堅いとされた州で両党が順調に議席を獲得したものの、多数派の鍵を握る接戦4州の一つで、早々に結果が判明したペンシルベニア州を民主党が奪還した。接戦州で勝敗が確定していないのは2州で、アリゾナ州は民主党が若干優勢だが、ネバダ州は共和党がリードしている。ジョージア州は、両者の各得票数が50%に至らず、同州の規定で12月の決選投票に持ち込まれることになった。

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ニューヨークタイムズのデータでは、確定議席を含めると、民主党48議席、共和党49議席となっており、ジョージアの結果が共和党の多数派奪還の行方を左右する可能性が濃厚になっている。

そうした中、ニューヨークタイムズの記者で、先月、トランプ氏に関する著書を出版したマギー・ヘイバーマン氏は、関係者の話をもとに、選挙の翌朝、トランプ氏がペンシルベニアの上院選のメフメット・オズ氏の敗退をめぐって「激怒」し、支持を表明するよう助言した「すべての人」を非難したと報告した。怒りの矛先はメラニア夫人にも向けられ、トランプ氏は「彼女の最善の決定ではなかった」と批判したともいう。

テレビパーソナリティでセレブ医師のオズ氏は、当初の支持率調査では、対抗馬のフェッターマン氏の後塵を拝していたが、先月のディベート対決で評価を挙げ、選挙直前に猛烈な追い上げを見せていた。95%の開票が進んだ時点で、フェッターマン氏が過半数を超える50.6%の票を獲得。オズ氏は47%となっている。

連邦議員以外にも、ミシガン州やカンザス州などの州知事選で、トランプ氏が肩入れした候補が負けており、トランプ氏の顧問がCNNに明かしたところによると、一連の結果に「激怒」したトランプ氏は、周囲に怒鳴り散らし、「みんな悪い候補者だ」などと批判したともいう。

トランプ氏大統領選の出馬表明の行方は

トランプ氏は、選挙直前の応援演説で11月15日に次期大統領選への出馬を表明する可能性を示唆した。ただし共和党内部からは、トランプ氏の強い関与が党の勝利を助けず、マイナスに働いたとして、共和党候補者としての能力を疑問視する声が広がりつつある。

共和党のストラテジスト、スコット・ジェニングス氏はツイッターで「今晩のこれらの結果をどのように見れば、トランプが2024年の総選挙で勝つ見込みがあると結論づけることができるのか?」と指摘。さらに「国民の70%が誤った方向に向かっていると考え、3分の2が景気後退に入ると思っている。将来に悲観的で、大半がバイデンの政策が、救うどころか傷つけていると考えている。にもかかわらず、これに代わるものよりも固執することを選んだ。私は、トランプに関連づけているのではないかと心配している」と述べた。

トランプ氏の出馬表明が、上院の行方を左右する来月のジョージア州の決選投票に悪影響を及ぼしかねないと懸念する声も上がっている。ホワイトハウスでトランプ氏の報道官を務め、現在FOXニュースでコントリビューターを務めるケイリー・マクナニー氏は番組内で「2024年について話したくなる誘惑にかられるのはわかる」としつつ、「2022は終わっていない」と主張。共和党は全エネルギーを、ジョージア州の勝利に注ぎべきと話し、トランプ氏は「一時停止する必要がある」と語った。