トランプ氏、自己負罪拒否権を行使 NY州司法長官捜査

162

トランプ前大統領は10日朝、証言録取のためにニューヨーク州司法長官の事務所を訪れた。

トランプ氏は午前8時30分頃、マンハッタンのトランプタワーの外に姿を現し、大勢の取材陣が見守る中、手を降って車に乗り込んだ。

証言録取は、レティシア・ジェームズ司法長官が進めるトランプ氏やトランプ氏のビジネスに関する民事捜査の一環。トランプ氏は前日夜、Truth Socialのアカウントを更新し、「米国史上最大の魔女狩りの延長である、人種差別主義者のニューヨーク州司法長官に会う」と報告。「私の会社と私自身は、四方から攻撃をされている。バナナ共和国だ!」と不満を述べた。ちなみにジェームズ氏は黒人女性初のニューヨーク州司法長官。

午前9時過ぎに司法長官事務所に到着したトランプ氏だが、この約1時間後に発表した声明で「すべての市民与えられた権利と特権に基づき、質問の回答を断った」と、憲法修正第5条が保障する自己に不利益な供述を強要されない権利(自己負罪拒否権)を主張したことを明らかにした。また「かつて無実であればなぜ修正5条を使うのだと問われたことがある」と批判を予想しつつ、「今その答えがわかった。家族や企業、周囲の人すべてが、法律家、検察官、フェイクニュースメディアからの支援を受けた政治的動機による魔女狩りの標的であるならば、選択の余地はないのだ」と牽制した。

ただし建物を後にしたのは、開始から約6時間後の午後3時過ぎだった。

Advertisement

司法長官の捜査とは別件で、今週8日には、フロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の住居兼マールアラーゴがFBIによる家宅捜索を受けた。

ジェームズ長官の捜査は、トランプオーガニゼーションがゴルフコースやビルの資産価格を偽り、債権者や税務当局をミスリードした疑惑に関するもので、マイケル・コーエン氏が議会で証言した後、2019年3月にスタートした。今年5月には、捜査が完了間近で、捜査官らはトランプ氏に対する法的措置を講じるに足る十分な証拠を揃えていると発表していた。

証言録取は法定外で行われる宣誓証言で、AP通信によると、情報筋は、長男ジュニア氏と長女イバンカ氏に対してもここ数日の間に実施されたと話している。トランプ氏の証言は当初は先月を予定していたが、元妻イヴァンナ氏が死亡したことで、延期されていた。