トランプ大統領は15日のタウンホールで、ニューヨークタイムズが報じた4億2,100万(440億円)ドルの個人保証による借金の存在について、「数字が誤っている」と述べつつ、「私の純資産のごく一部にすぎない」「(資産に比べれば)4億ドルなんてはした金だ」と発言するなど、部分的に認める発言を行った。
また、個人保証にもかかわらず「一部は、私にお金を貸したいと思っていた金融機関への好意だ」と主張。さらに海外の銀行からの借金かと問われると「私の知る限りそうではない」と述べ、「もし希望するなら、誰に”少額”を借りているかあなたに教えよう」と語った。
なおトランプ氏は以前、同報道を「完全なフェイクニュースで、でっちあげだ」と否定していた。
ニューヨークタイムズは27日、トランプ氏が大統領になる前の15年間のうち、10年間は連邦所得税を支払っていなかったほか、2016年と2017年に収めた金額はわずか750ドルだったと報じた。
タイムズはこの記事の中で、トランプ氏が4億2,100万ドルの借金を個人保証しており、このうち3億ドルが4年以内に期限を迎えると伝えた。
これらの主な融資元はドイツ銀行で、同社は「ドラール・リゾート」の購入に1億2,500万ドル、ワシントンホテルのために1億6,000万ドルをトランプ氏に提供していた。
ドイツ銀行のほかには、2012年以降、重要な貸手と考えられるのは、米不動産投資信託のラダー・キャピタルだけだという。
なおMother Jonesによると、ラダーキャピタルは商業不動産担保証券などに特化した企業で、従来の銀行からの借り入れができない人々にとって、しばしば最後の手段として使用されているという。同社は、トランプタワーとトランププラザにローンを提供しており、これらは今後数年で期限を迎える。
メイン事業が業績不振
タイムズによると、トランプ氏のコアビジネスのほとんどが、毎年数百万ドルの損失を出している。トランプ氏はこれらを維持するため、過去数十年、主な収入源となってきたテレビ番組のライセンス収入などをリゾートやホテルに費やしてきた。しかし、これらは近年急激に縮小しているという。
この一方で、過去数年、株式を大量に売却しており、記録によると、トランプ氏は2014年1月に9,800万ドル、2015年に5,400万ドル、2016年に6,820万ドルを売却していた。7月に開示された財務情報によると、売却可能な証券はわずかに87万3,000ドルだったという。
タイムズは、ローンは通常、企業の収益性に基づくものだとした上で、継続的に損失を出しているドラールとワシントンホテルを、リファイナンスするのは容易ではないだろうと指摘している。
一方、元財務当局者は同紙に対して、トランプ氏が司法省に敵を捜査させることをいとわない姿勢を示していることから、連邦規制の対象にある銀行にとっては、厄介な立場に置かれることになると見解を語っている。