トランプ陣営の「軍隊を支援しよう」キャンペーン広告の画像、ロシアの戦闘機だった

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トランプ陣営が行ったデジタル広告キャンペーンに、ロシア製の戦闘機と、兵士に扮したロシア人モデルが写るイメージ画像が使われていたことが分かった。15日、政治ニュースサイトのPOLITICOが伝えた。

広告は、トランプ陣営と共和党全国委員会の資金集めを担う「トランプ・メイク・アメリカ・グレート・アゲイン委員会」が公開した。画像には、上空を飛ぶ戦闘機と、その下を歩く三人の兵士のシルエットが写っており、「われわれの軍隊を支援しよう」と呼びかけている。今月8日から12日までネット上で公開された。

元の画像は、写真素材提供サービス「シャッターストック」からダウンロードできることがわかっている。寄稿者は「BPTU」というユーザーネームで、「Military silhouettes of soldiers and airforce against the backdrop of sunset sky」と説明が加えられている。なお寄稿者の拠点はピレネー山脈の中腹に位置する国アンドラと登録されている。

米空軍のF-16やA-10などの戦闘機の設計に関わったピエール・スプレイ氏は、同メディアの取材に「軍を支援しているのは喜ばしいこと」と冗談を交えつつ、「間違いなくMiG-29(ロシアの戦闘機)だ。」と回答した。判断理由に、尾翼の角度やエンジンの間隔を指摘している。

また、モスクワにある戦略技術分析センターのディレクター、ルスラン・プホフ氏も、画像の戦闘機がロシアのMiG-29であると断定。さらに右端の兵士が持っている銃がAK-74アサルトライフルだと話した。

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その後、画像作成者のBPTUは、ロシアの都市ペルミを拠点に活動する石油会社のアナリストで、趣味で写真を撮っているアーサー・ザキロフ氏(34)だということが判明した。同氏はポリティコに対し、写真の戦闘機はMiG-29の3Dモデルで、兵士はロシア人モデルだと説明。背景はロシアの空、ギリシャの山、フランスの地面を合成したものだと明かした。

MiG-29は、冷戦時代にアメリカのF-15やF-16に対抗するために開発されたロシアの双発戦闘機で、1977年に初めて使用されたという。世界中に販売され、最近では、シリアの空軍基地やリビアでも目撃されている。

ロシア政府はこれまで、MiG-29を北朝鮮やシリア、インド、ウズベキスタンなど多くの国に輸出しており、ソ連末期には、イランに68機販売している。また1997年には、敵対国に渡るのを防ぐため、アメリカが「核搭載可能」なMiG-29をモルドバから21機を購入したこともあるという。

なお、支持者らに秩序の回復をアピールしたいトランプ陣営は7月、警察官とデモ隊が衝突する画像を使用したフェイスブック広告を流したが、デモの写真は米国ではなく2014年にウクライナで撮影されたものだったことが判明。批判を浴びていた。