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トランプ氏自身も制御不能?支持者から「ブーイング」を浴びたワケ

2024年大統領選への出馬の噂が度々取りざたされているトランプ前大統領。本人も出馬を匂わす発言を繰り返しており、つい先日出演したFOXニュースのインタビューでも、決断は周囲の人々をハッピーにさせるもの、と思わせぶりな回答をした。ただし明言は避けており、発表しない理由について、選挙資金法に違反するからなどと説明している。

集金力を含め、党内の存在感も大きい。共和党の大物リンジー・グラハム上院議員(サウスカロライナ州)は、中間選挙で下院を取り返すために、トランプ氏が共和党を束ねる鍵になるとの見方を示している

6月以降、選挙キャンペーン風の集会を各地で精力的に開催しており、21日には2020年選挙で圧勝したアラバマ州の都市カルマンを訪問。大勢の観衆を沸かせたが、演説中にサポーターからブーイングを受ける場面があり、話題になった。

ワクチン推奨でブーイング

FOXニュースによると、トランプ氏は演説中、犯罪やインフレ、アフガニスタンの米軍撤退を巡る混乱について、バイデン大統領を厳しく非難。「米国の名声に大きな汚点を残した」と述べたほか、新型コロナウイルスについても、歯止めをかけることに失敗していると主張。「私が大統領だったら、ウイルスが再拡大してることなど想像できるか」などと語った。

ただ、バイデン氏への攻撃は好評だったものの、ワクチン接種を呼びかけると反対の声に遭遇した。

トランプ氏が「君たちの自由を完全に信じている。君たちがやらなければならないことをするべきだ。.でもワクチンを接種することをお勧めする。私もやった。これはいいぞ」と話すと、ブーイングの声が響いた。

これにトランプ氏は「それでもいいんだ。大丈夫」と反応。「でも、私はワクチンをたまたま接種した。これが機能しない場合は、君たちが最初に知ることになる」と冗談めかしつつ「でも機能している。君たちには自由がある。これは維持しなければならない」と語った。

自分でまいた種?

アラバマ州のワクチン接種率は36%で全米で最も低い。The Hillによると、集会を開いた都市では、感染拡大で病床数が不足し、緊急事態宣言が出されたばかりだという。

ワクチンはトランプ政権の「オペレーション・ワープ・スピード」の下で早期開発が実現した。トランプ氏も自分の手柄を繰り返して強調しているが、トランプサポーターの間では、ワクチンに懐疑的な意見が多いと言われる。先月実施されたFOXニュースの調査では、大統領選でトランプ氏に票を投じた有権者の約3分の1が、ワクチン接種を受ける計画はないと答えた。

トランプ氏は先月、声明で、ワクチンを拒否するのは、バイデン政権と選挙結果、フェイクニュースを信頼していないからだと自説を述べた。ただし、この発言の裏を返せば、ワクチン拒否は、支持者に投票不正を信じ込ませようとした皮肉な結果だとも受け取れる。

今回の聴衆の反応について、USA Todayのコラムニスト、マイケル・スターン氏は「自分がモンスターを造ったが、いまやコントロールできなくなっている」と指摘。

ガーディアンの記者ユーゴー・ローウェル氏が「フォックスニュースが繰り返した嘘の効果だけでなく、トランプがいかに自分の支持者によって先導されているのかを示している」と投稿すると、ビル・クリストル氏は、ブーイングですぐに主張を引っ込めた点に触れ「これが共和党主流派だ。反ワクチンを受け入れはしないけど、だからといって支持者たちに真実を話そうとしない。命を救うためにでさえ」と、今の共和党を象徴する出来事との見方を示した。

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