トランプ政権 難民申請期間中の移民の入国禁止、メキシコ滞在を協議

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中米からメキシコを経由して米国へに向かう移民キャラバンの問題を巡り、メキシコの次期政権と米国の間で、難民申請の結果を待つ移民が、メキシコにとどまることができるよう協議が行われていることが明らかとなった。

メキシコでは12月に新たにロペスオブラドール大統領政権が発足する。ニューヨークタイムズによるとメキシコ政府は移民の滞在受け入れを正式に決定していない。マルセロ・エブラルド(Marcelo Ebrard)次期外務大臣によると、次期政府高官は米側からの提案について日曜日にも協議を行う予定となっている。

現行制度では、難民申請をした移民は、裁判所の結果がでるまでの間、米国内に滞在することが可能となっている。トランプ大統領は、入国許可後に裁判所に出廷せず、国内に違法に潜伏する割合が大きいなど、制度が不法移民によって乱用されていると非難を繰り返してきた。今月9日には、難民申請を入国港に限定する大統領令に署名し、難民申請の厳格化に動き出した。しかし、大統領令は19日、サンフランシスコ連邦地裁によって一時差しどめの命令を下されている。

両国の正式な合意が発表されていないが、トランプ大統領は24日、難民申請中の移民の米国滞在を許可せず、メキシコにとどまらせる方針をツイッターで発表した。さらに「必要とあらば、南部国境を閉鎖する」と述べ、「数十年にわたる乱用にも関わらず、コストが高く、危険な状況を、米国が継続するわけがない」と強行姿勢を示した。

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国土安全保障省の高官はニューヨークタイムズに対し、物流面など多くの問題が未解決だが、政策は翌週にも開始される可能性があると語っている。一方、すぐに訴訟を起こされることが予想されており、政府の弁護士らは準備に入っているという。

米側の提案を知る関係者によると、難民申請を希望する移民は正式な入国地点で申請手続とインタビューを実施し、帰国した場合に危険があると証明された場合に限り裁判日程を受け取り、その日までメキシコに滞在することとなる。しかし、裁判所には約百万件のケースが堆積しており、メキシコで裁判を待つ期間は数年間におよぶ可能性があるという。

過去2週間で、米国境に接するメキシコ北部の都市、ティフアナには5,000人ほどの移民キャラバンが到達しており、さらに今後数日で約1,500人が到着する見込みだという。キャラバンは、経済的貧困を逃れて米国を目指す者が多数含まれるが、彼らは難民申請を希望していると言われている。

23日、ティファナのホアン・マニュエル・ガステルム市長は、人道危機にあると宣言。滞在施設や食料、衣料など、移民保護に関し、国連に支援を要請した。