マンハッタンにあるエンパイアステートビルディングは、90歳の誕生日を迎えたシンガーのトニー・ベネット(Tony Bennett)氏の功績をたたえ、音楽と光のスペシャルイベントを開催した。
FMから流れるベネット氏の代表曲とシンクロし、エンパイアステートビルをライトアップさせた。点灯式には、2014年にコラボレーションアルバムを発表したレディー・ガガも参加した。
輝き続ける大スター
ベネット氏は、1926年クイーンズ区のアストリア生まれ。1950年代から歌手として頭角を現し、「ビコーズ・オブ・ユー」や「想い出のサンフランシスコ」(I Left My Heart in San Francisco)といった大ヒット曲を連発。一躍スター歌手としての地位を築いた。
これまでに19回のグラミー賞を受賞している。ポピュラー歌手として有名だが、ジャズにも造形が深く、ジャズスタンダードナンバーを情緒豊かに歌い上げた、数々の傑作を発表している。
1975年に発表されたジャズピアノの巨匠ビル・エバンスとのコラボレーションは、今に聴き継がれる名盤。
【アルバム:Bill Evans & Tony Bennett】
当時、確固たる地位を築いていた両氏が、どちらが主役になるともなく、お互いに敬意を払いながら、紡いでいく音楽は、なごやかな雰囲気の中にも、緊張感をはらみ、いまだにその新鮮さを失っていない。
ベネット氏は、世代やジャンルを超え、さまざまなアーティストと優れた作品を作り続けている。2014年に発表したレディー・ガガとのコレボレーションアルバムではグラミーの「Best Traditional Pop Vocal Album」を受賞した他、同アルバムに先立つこと数年、アルバム「Duets」シリーズでは、故エイミー・ワインハウスとのデュエット「ボディ・アンド・ソウル」をはじめ、豪華ゲスト陣を迎えた作品を残している。
【アルバム:Tony Bennett & Lady Gaga Cheek To Cheek】
【アルバム:Duets II】
画家としても活躍
ベネット氏は、シンガーよりも画家としてのキャリアが長く、セントラルパークを望む自宅から、現在も毎日作品制作に励んでいるという。現在、エンパイアステートビルの1階では、アンソニー・ベネット(Anthony Benedetto)の本名で描かれた同氏の作品を展示中。
マイルス・デイビスと、ジョン・コルトレーンを描いた作品。