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アルツハイマーを公表 伝説のシンガーに起きた奇跡

今年2月にアルツイハイマー病を公表した伝説のジャズシンガー、トニー・ベネット(Tony Bennett)氏(95)氏。家族や歌手のレディー・ガガと共に3日、米CBSテレビの「60 Minutes」に出演し、現在の活動や状況について語った。

ベネット氏が、アルツハイマー病を患っているのが判明したのは、5年前。長年一緒に演奏しているミュージシャンの名前を思い出せなくなったことから、医師の診察を受けたという。

70年以上のキャリアを持つベネット氏は現在、マンハッタンのアパートメントで、本を読んだり、昔のアルバムを見たりして過ごしている。かねてより画家としても活躍しており、番組ではセントラルパークを望む自宅で、風景画を描く姿が紹介された。

妻のスーザンさんは病状について、家族のことは把握しているが、自分が病気を患っていることについては、認識していないと語った。

主治医で神経科医のガーヤトリー・ デーヴィー(Gaytari Devi)医師は家族に、ベネット氏に歌うことを勧めるよう伝えているという。

長男でマネージャーを務めるダニーさんは、ラジオシティミュージックホールでのコンサートを企画。ベネット氏は95歳の誕生日を迎えた今年8月、レディー・ガガと共にステージに上がった。

コンサートで奇跡

ベネット氏はコンサートの開催が危ぶまれるほど病気が進行していたが、リハーサルに入ると、驚く出来事があった。

伴奏者のリー・ミュジカー(Lee Musiker)氏がピアノを演奏し始めると、ベネット氏は歌詞やキューカードを見ることなく、記憶だけで1時間のセットを歌い上げたという。ミュジカー氏は番組で「完全に没頭し、全く新しいフレーズ、そしてパフォーマンスだった。まさに奇跡だった」と語っている。

レディー・ガガもリハーサルで起きた変化について語った。

なおベネット氏とガガの活動は2014年のファーストアルバムに始まり、90歳の誕生日には、エンパイアステートビルでセレモニーを開催。先週、2018年に収録したセカンドアルバム「Love for Sale」をリリースした。

コロナ後に再会した際、ベネット氏はガガを「スイートハート」と呼んだが、実際に彼女と認識しているかはどうかは定かではなかったと語っている。

しかしリハーサル中、音楽が流れ始めると「何かが起こった。彼は自分が何をしているのか分かっていた。私たちはそれを妨げないようにするだけだった」と語っている。

デーヴィー医師は、患者の脳はそれぞれの強みに応じて、異なる反応を示すと説明している。

番組ではコンサート当日の舞台裏も紹介された。楽屋で不安そうな表情を浮かべていたベネット氏は、観客がスタンディング・オーベーションで迎える中、ステージに登場。幕が空き、スポットライトを浴びた瞬間、観客に向けて両手を広げ、満面の笑みで「ワオ」と声を上げた。観客の様子を見た後、会釈をする様子も撮影されている。

舞台脇で様子を見守っていた妻のスーザンさんは、その瞬間について「彼が自分自身なったのを見て、われわれは大丈夫だと思った。それはまるで電灯のスイッチが入ったようだった」と語った。

その夜、ベネット氏は12曲以上を歌い、観客から20回以上のスタンディング・オベーションを受けたという。

レディー・ガガが最後のデュエットでステージに登壇した時、ベネット氏は「ワァ、レディー・ガガ。それいいね!」と感嘆した様子で語りかける場面も放送された。ガガは、感激した様子で顔に手を当て、体をかがめたあと、その場で何度かターンし、ベネット氏に応えた。

ガガは、司会のアンダーソン・クーパー氏に対し「トニーが私の名前を呼んだのは、久しぶりのことだった」と感動を明かしたガガは、「友人が私を見て、レディー・ガガだと言ってくれた。とても特別なことだった」と振り返った。

クーパー氏は後日、セントラルパークで散歩中のベネット氏に先日のコンサートの感想を尋ねた。すると、ベネット氏は「意味がわからない」と返した。

クーパー氏から今回のパフォーマンスが最後であることについて「悲しい物語かな?」と気持ちを聞かれると、ガガは「誰かが変わるのを見るのはつらいし、感情的になるが、悲しい話ではない」と述べ、病気はベネット氏の才能を止めないと語った。さらに「彼は物事を変え、なお素晴らしい人でいることができると世界に伝えた」とベネット氏を讃えた。

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