安倍元首相、米タイム誌の表紙に「日本立て直した」

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米タイム誌は8日、街頭演説中に銃撃を受けて死亡した安倍信三元首相(67)を次号の表紙に掲載すると発表した

同紙は、日本で最長の任期を務めた安倍氏は2020年、持病の悪化を理由に退陣したが、目標が未達だったため、その後も政界で影響を保ち続け、「レガシーを塗り替える取り組みを続けていた」と説明。しかし8日、暗殺によって志半ばで終わったと述べた。

テンプル大学ジャパンのアジア学会長ジェフ・キングストン氏は同誌の取材に、安倍氏は辞任後、党内で「強い発言力」を保ちつつ、首相という重荷から解放された状態で、「安全保障と憲法改正に対する自身の見解を提唱し続けていた」と語っている。

キングストン氏は、安倍氏は「日本を立て直した首相として、記憶に残るだろう」と主張。在職中、観光客が急増し、日本は「クールな国になった」と述べ、90年代のバブル崩壊後、何十年も経済停滞に陥っていた日本人の「自信を取り戻す」ことに成功したと功績をたたえた。

挑発を繰り返す北朝鮮や、軍を近代化させる中国に対抗するため、憲法改正の必要性を訴えてきたが「相反する国民と立法の障害に直面」し、改正は実現しなかったが、2015年に制定した平和安全法制により、日本の防衛力を高めることに成功したと述べた。

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外交面については、どの前任者よりも多くの指導者と面会し、「非常に活発」だったと説明。トランプ前大統領との「悪名高い求愛」が日本にもたらした恩恵は「不明」としつつも、日米関係を強化し、インドやオーストラリアと新たなパートナーシップを築いたと評価した。一方で、慰安婦問題が貿易戦争へとエスカレートした韓国や、中国との関係は改善しなかったとしている。

近代日本政治において、比類ない権力を持っていたにも関わず、多くの日本人に人気はなかったと説明。経済復興計画の「アベノミクス」で生じたわずかな利益の大半は、新型コロナによって一掃されたほか、汚職スキャンダルなどもあったと指摘した上で、「混合したレガシーを遺した」と締めくくった。