ティム・バートン監督の待望の新作「ウェンズデー」(Wednesday)の配信がスタートした。すでに大ヒットを記録する一方で、黒人キャストの悪役への起用をめぐり、人種差別だとの声が上がっている。
同作品は、「アダムス・ファミリー」(1991)のリブート版。Netflixによると、配信開始後1週間で、3億4000時間以上視聴され、「ストレンジャー・シングス4」(3億3,500万時間)を抜いた。
主人公ウェンズデー・アダムスを演じるのは、ラテン系のジェナ・オルテガ(Jenna Ortega)。黒人俳優のジョイ・サンデー(Joy Sunday)とイマン・マーソン(Iman Marson)が、いじめっ子の役として登場する。マーソンは、イギリス人入植者をテーマにした遊園地「ピルグリム・ワールド」のオーナーである市長の息子、ルーカス・ウォーカーを演じている。
いじめっ子役には白人のキャストも含まれるが、ツイッターのユーザーからは「ティム・バートンは邪悪または好かれないキャラクターに、黒人を起用することで知られている」「ティム・バートンはついに黒人をキャスティングしたが、ピルグリムの悪役に起用した」と否定的な意見が投稿された。
Ohhh! I forgot! Wednesday is directed by Tim Burton! He’s admitted to believing black people don’t “fit his vision” or some shit. He’s known for making evil or unlikable characters black. He is admittedly racist. That explains a lot!
— Honey Ma (@TheHoneyMa) November 27, 2022
これらの反応に対し、バートン監督の広報担当者マイク・シンプソン氏は、ニューヨークポスト紙に「ばかげた質問」は監督に尋ねることすらできないと、回答を拒否。CNNの記事を添付し「明らかにデイライトセービングタイムの方が人種差別的だ」と指摘した上で、同作品がサマータイムが導入されているルーマニアで撮影されていることを、引き合いに出した方が「まだまし」と皮肉めいたコメントを出した。CNNには、有色人種はデイライトセービングタイムによって、より不均衡な影響を受けていると書かれている。
なおBustleは2016年の記事で、バートン氏の作品で、「ミス・ペレグリンの奇妙な子供たちの家」(2016)に出演したサミュエル・L・ジャクソンは、初めて主役を演じた黒人だとして、キャストの多様性の欠如を指摘していた。
バートン氏は、同サイトの取材に対し、映画業界での多様性に関して「人々はそれについてより語るようになった」と述べつつ、60年代後半から70年代初頭に放送されたシットコム「ゆかいなブレディー家」で、「全てが政治的に正しくなり始めたのを覚えている」と振り返った。自身は「(都会に暮らす黒人をステレオタイプ化した)ブラックスプロイテーション映画を見て育った」と明かし、これらの作品に「もっと白人が出演するべきだとは思わなかった」と自身の考えを語っている。