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「建国の父」が差別の象徴に。 歴代大統領の銅像を相次ぎ撤去

ニューヨーク市では、トマス・ジェファーソン像と、セオドア・ルーズベルト像が撤去されることとなった。

アメリカ自然史博物館の前に、80年以上設置されてきた、ルーズベルト第26代大統領の像は、ノースダコダ州へと移設される。移設作業は、秋のうちに開始する予定だという。

セオドア・ルーズベルト大統領図書館財団(The Theodore Roosevelt Presidential Library Foundation)は19日の声明で、ニューヨーク市と、設置の見直しや、長期的な貸し出しについて、合意に至ったと発表した。

像は、ニューヨーク州知事をつとめ、大統領となったルーズベルトの死後、州による記念施設の建設事業の一環として、1940年に完成した。

設置目的について、自然主義者で自然史に関する書物を残したルーズベルトを称えるとともに、博物館の創設に寄与したルーズベルト家との歴史的な関係を示すものとされてきた。

しかし、馬上のルーズベルトが、両脇にアフリカ人と先住民を従えているように見える像の構図は、植民地主義や差別、種の優劣を表すものだとして、長らく議論の対象となってきた。

2017年に起きたシャーロッツビル事件や、昨年、黒人男性のジョージ・フロイド氏が警察官に殺害されたことをきっかけに、差別や奴隷制を象徴する像を取り除くよう求める声が高まり、今年6月、自然史博物館は、像を撤去すると発表していた

「建国の父」トマス・ジェファーソン像も

市庁舎内の議場に100年以上置かれていた「建国の父」の1人、トマス・ジェファーソン像は、2日に撤去された。

市は今後、ニューヨーク最古の美術館、ニューヨーク歴史協会(New York Historical Society)に長期間貸与するとしている。

像は1833年に、ニューヨークの市庁舎に寄贈された。1915年から議場に設置されている。

ジェファーソンは、1776年の独立宣言を起草し、第3代大統領に就任。600人以上の奴隷を所有し、そのうちの1人、サリー・ヘミングス(Sally Hemings)と6人の子供をもうけている。

パブリックアートを監督する市の公共デザイン委員会は先月18日、移設に関する投票を行い、全会一致で可決した。

ニューヨークポスト紙は、同委員会は公聴会を開かず、撤去に関する投票を実施しようとしたほか、メディアに告知せず、像の撤去を試みたと報じた

ジョン・ジェイ・カレッジ・オブ・クリミナル・ジャスティスのエリン・トンプソン教授は同紙に対し、撤去に関する話し合いが不足していると指摘している。

SNSには、約400キログラムの像が、議場から運び出される様子が投稿されている。

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