「腫れぼったいアジア人の目」ティーン・ヴォーグ新編集長 過去の人種差別的ツイートに非難

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Alexi McCammond氏 image by lev radin : Shutterstock.com2

米誌ティーン・ヴォーグの次期編集長のアレクシ・マキャモンド(Alexi McCammond)氏(27)が過去に、アジア人や同性愛者を蔑視するツイートをしていたとして、内部スタッフから同氏の起用を問題視する声があがった。ワシントン・ポスト紙が伝えた。

マキャモンド氏は2011年、学生だった頃に「寝起きに腫れぼったいアジア人の目にならない方法をググってる」とツイート。別の投稿では、大学教授のアシスタントを「バカなアジア人」と呼ぶなど、差別的な発言をしていた。

8日、従業員らは声明で、読者から懸念の声が寄せられているとし、マキャモンド氏の「人種差別的で同性愛者嫌いのツイート」を踏まえ、同氏の起用に関して親会社のコンデナストに書簡を送ったと発表。アジア系に対する暴力増加やLGBTQコミュニティーの問題に触れ、媒体の品位を損なわないために、内部で有益な対話がなされることを希望していると述べた

匿名の従業員によると、8日に書簡が提出された後、この件をめぐってマキャモンド氏を交えオンラインで意見交換会が開かれた。その後、マキャモンド氏から従業員あてに謝罪のメールが届いたという。

マキャモンド氏はメールで、「10代のころに投稿した、アジア系アメリカ人を人種差別的にステレオタイプ化した攻撃的で、馬鹿げたツイート」について、数年前に謝罪をしているとした上で、「これによって迷惑をかけたことを深くお詫びする」と改めて謝罪。「ツイートの内容は私自身を反映するものではないが、皆さんの信頼を失ったことは理解している。今までの2倍努力して信頼回復に務める」と述べ、「プラットフォームで、アジア系アメリカ人の声を高めていくことに尽力する」などとコメントした。

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問題のツイートは、ニューヨーク・マガジンの元編集者で、情報サイト「The Infatuation」の編集ディレクター、ダイアナ・ツイ氏(Diana Tsui)がインスタグラムにスクリーンショットを投稿したのをきっかけに拡散した。ファッション業界の監視グループの「ダイエット・プラダ」がこれを再投稿したことで、さらに広まった。

ツイ氏はインスタグラムで、ティーン・ヴォーグの掲げる「受容性と向上」という価値観を、マキャモンド氏が本当に「体現する」とは思えない、とし、コンデナストの姿勢を、「ダイバーシティに対するリップサービス」と批判。「彼らは反人種差別主義にアジア系アメリカ人を含むべきだと、そもそも考えていない」と指摘した。

問題のツイートは2019年にも一度出回り、マキャモンド氏は当時も謝罪している。ツイ氏もこれを認識した上で、マキャモンド氏がこの時、ツイートを「人種差別」と呼ばずに「無神経なツイート」として謝罪したことについても批判した。

バイデン政権スタッフとの交際も

先月、交際相手でバイデン氏の副報道官だったTJ・ダックロ氏(TJ Ducklo)が、ポリティコの記者を脅迫したことが明るみに出た際にも、マキャモンド氏の名前が度々メディアに取り上げられた。ダックロ氏は、当時Axiosの政治記者だったマキャモンド氏と自身の交際について取材を始めた記者に対して、「お前を破滅させる」と脅迫した。この問題が報じられた後、同氏はバイデン政権を辞任した。

なお、マキャモンド氏は昨年11月の時点でダックロ氏との関係をAxiosに報告しており、その後ハリス氏及びリベラル派政治の担当に異動になっていた。

「若すぎる」との指摘も

Daily Beastによると、差別発言とは別に、弱冠27歳というマキャモンド氏の年齢と経験不足を指摘する声もある。ただ、ティーン・ヴォーグでは以前から若手編集者を積極的に管理職に抜擢しており、23歳で同誌ウェブサイトの運営を率い、26歳でチーフ・コンテンツ・オフィサー(CCO)を任されたフィリップ・ピカルディ氏(Philip Picardi)や、28歳で編集長になったリンジー・ピープルズ・ワグナー氏(Lindsey Peoples Wagner)などの例がある。

コンデナストの広報は、Daily Beastへの声明で、マキャモンド氏の起用の決定は堅持すると発表。「彼女がジャーナリストとしての仕事を通じて示した価値観、受容性、深さを評価」した上での起用だと述べた。「キャリアを通じ、彼女は取り残された人たちの声をすくい上げることに尽くしてきた」とし、「差別的ツイートに関しては、2年前にすでに謝罪し責任をとっている」と説明した。

Axiosの共同創設者のJim VandeHeiは、マキャモンド氏は仕事を通じて、勤勉で全ての個人や集団を代弁する者としての”真の性格”を示してきたと擁護。またマキャモンド氏の体験をキャンセル・カルチャーと比較しつつ、「我々はたった一つの、昔の、議論の余地のある罪で人々をはりつけにしている」と述べた。

ネットには、マキャモンド氏の起用を支持する声が多い一方で、「17歳なら、人種差別かどうか区別がつく年齢だ」「キャリアに悪影響がでる今になって、謝っている。だまされない」「彼女は大学で教育を受けている17歳だった。幼い少女とは違う。飲んだり、運転できる州だってあるのに、人種差別の責任を取らされそうになると、都合よく若すぎたことにしている」「彼女が白人で、Nワードをツイートしたなら、彼女は職にとどまれたかしら」といった非難のコメントも寄せられている。