プライド商品が炎上の米小売大手ターゲット 時価総額1.4兆円が吹き飛ぶ

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6月のプライド月間を記念して発売したコレクションが保守派の反発を招き、一部の地域で商品を取り下げる事態に発展した米小売大手ターゲット。先週半ばから株価が7営業日続落し、時価総額100億ドル(1.4兆円)以上が失われた。

騒動が勃発したのは先週水曜日。キッズ用の商品展開をめぐり、SNSで子供にLGBTQイデオロギーを植え付け、グルーミングしていると非難する声が広がった。とりわけ厳しい非難にさらされた「タッキングフレンドリー(股間の膨らみを目立たなくする仕様)」と記載された水着は、大人用サイズだったものの、子供向けに販売していると誤った主張が拡散された。

不満の声はネットにとどまらず、プロテスターが店舗でディスプレイを破壊するなどしたことから、同社は23日、従業員の「安全や快適さ」を考慮し、商品の撤去を含む、プライド月間の販売やプロモーションに関する「計画を調整する」と発表した。

その後、南部州の一部の店舗で、入り口近くにあったディスプレイを後方に移動するなどの措置が講じられたと報じられた。問題とされた水着は、すでにホームページからも削除されている。

同社の株の金曜の終値は138.93ドルで、2020年8月以来の最安値を記録した。ニューヨークポスト紙は、時価総額が前週水曜日に比べて101億ドル減少したと伝えている。

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バドライトの二の舞に?

LGBTQコミュニティにアピールする取り組みが、不買運動に発展したものでは、ビール製造大手アンハイザー・ブッシュの主力ブランド、バドライトが記憶に新しい。

同社は4月、トランスジェンダーのインフルエンサー、ディラン・マルヴァニー(Dylan Mulvaney)(26)とパートナーシップを締結。マルヴァニーが商品をPRする動画をTikTokに投稿した直後に、保守派の間で不買の声が広がった。運動の影響は限定的との予測があったものの、メモリアルデーを前に、6週間連続で売り上げが減少したと報じられている。

こうした中、共和党のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)は26日配信のポッドキャスト番組で、バドライトとは状況が異なるとの考えを示した。

クルーズ議員は、保守派のボイコットは従来上手くいきずらいとした上で、ディズニーランドを引き合いに「ディズニーにむかついても、子供がどうしても行きたいと言えば断りにくいだろう。代替物があまりないからだ」と説明。一方で、バドライトを注文する代わりに、「クアーズ・ライトをくださいというのは容易だ。非常に単純な代替品だ」と語った。「ターゲットについては、どれだけ長く続けられるか、どれほど代替が容易かはこれからだ」と続け、「ウォルマートがあるし、代替手段もあるが、ターゲットは多くのエリアに展開し、買い物客にとって便利なことは確かだ。これが永続的な結果になるかどうかみることにしよう」と語った。