コロラド州食料品店銃乱射 アリッサ被告とは

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コロラド州ボルダー(Boulder)にある食料品店で発生した銃乱射事件について、ボルダー警察は23日、身柄を拘束した男の名はアフマド・アリッサ(Ahmad Al Aliwi Alissa)(21)だと述べ、10件の第1級殺人罪で起訴したと発表した。

銃撃により10人が死亡した。被害者の年齢は20歳から65歳で、この中には最初に駆けつけた警察官、エリック・タリー氏(51)も含まれる。

店内に銃声が響いたのは午後2時30分頃。ボルダー警察は2時40分に出動し、数分で現場に到着した。警察官と犯人の間で撃ち合いになり、この際、犯人は足を負傷した。

3時28分に身柄を拘束し、治療のため、病院へと搬送した。容体は安定しているといい、まもなくボルドー郡刑務所に移送される予定だという。

動機などの詳細は明らかにされていない。

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ニューヨークタイムズによると、連邦政府の捜査当局者は、犯行には、過去の銃乱射事件で度々使用されてきたAR-15ライフルの一種が使用されたと話している。

シリアから移住、高校でいじめに

アリッサ被告は、デンバーとボルダーの間に位置するアーバダ市在住。タイムズによると、アリッサ被告は1999年にシリアで生まれた。ボルダー郡の地方検事は、被告人は「人生の大半を米国で暮らしている」と語っている。なおデイリービーストは、フェイスブックでは、2002年に米国に来たことになっていると伝えている。

アーバダ・ウエスト高校に通い、レスリングをしていた。

フェイスブックページには、レスリングとキックボクシングに関心があることが示されているという。2019年には「#NeedAGirlfriend」と投稿していた。デンバーメトロポリタン州立大学で、コンピューターエンジニアリングを学んでいるとされているが、現時点で学生かどうかは不明だという。

デンバー・ポストによると、アリッサ被告は2017年に、高校のクラスメートを予告なく殴るなど、暴力事件を起こしていた。2018年に有罪となり、2カ月間の保護観察と48時間のコミュニティ・サービスを命じられた。

このほかに少なくとも2件の事件で警察と関わっているが、詳細は明らかではない。

なお、ニューヨークタイムズは、連邦捜査局は、捜査中の別の人物とアリッサ被告が関係していることから、同局は本人に関する情報を知っていたと伝えている。

デンバーポストはまた、アリッサ被告が2019年に、高校から携帯電話を「ハイジャック」されていたとフェイスブックに投稿していたと伝えた。他のユーザーから理由を聞かれると、「確実に人種差別の一部だと思う」と返答し、「誰かが、嘘の自分の噂を流して、それがきっかけになったと思う」とコメントしていたという。

このほかの投稿では、反LGBTQの考えを示していた。

元レスリングのチームメイトの話によると、アリッサ被告は、ちょっとした侮辱に対して敏感だった。さらにイスラム教を理由に標的にされることをよく心配していたという。

デイリービーストによると、アリッサ被告の兄アリ氏(34)は電話取材に、弟は偏執症だったと述べ、高校時代は「追いかけられいる、後ろに誰かがいる、誰かに見られている」などと話していたと語った。犯行は、政治的なものではないのは確かで、精神障害によるものだと話した。

元々は社交的な性格だったが、高校でいじめにあい、非社交的になっていったという。

このほか、2019年に発生したニュージーランドの2カ所のモスクを狙った銃乱射事件について、アリッサ被告は「クライストチャーチのムスリムは、1人の銃撃犯による被害者ではない、イスラム教徒を中傷するイスラム嫌悪産業全体の被害者なのだ」と投稿していた。