オンライン小売業者の売上税の徴収を巡って、サウスダコタ州とホームグッズのオンライン小売ウェイフェア(Wayfair Inc.)の間で争われた裁判で、米連邦最高裁判所は21日、他州のオンライン小売業者に対し、売上税を課すことが可能だとする判決を下した。
州外からのオンライン販売については、1992年のノースダコタ州とQuill Corp.との間で争われた裁判判決をベースに、州は、州内に店舗や倉庫などの物理的な拠点を持たないオンライン小売業者には売上税を強制することが困難とされてきた。
判決はこれを覆すもので、アンソニー・ケネディ最高裁判事は、「インターネットの普及とその力は国家の経済のダイナミクスを変化させた」とし、「この拡大は、売上税と使用税を徴収する州の歳入不足を拡大させている」と、ノースダコタ州の判例が現代の状況に当てはまらないことを述べた。
一方、反対に回ったジョン・ロバーツ主席判事は、「小規模ビジネスにとって不釣り合いな重荷となる」「本日の判決は、幅広い領域にまたがる新しいマーケットにおける商取引にとって、機会を削ぐ可能性がある」とし、決定は議会に任せるべきであるとする見解を示した。
トランプ大統領はツイートで、連邦最高裁の決定を祝福。
Big Supreme Court win on internet sales tax – about time! Big victory for fairness and for our country. Great victory for consumers and retailers.
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) June 21, 2018
判決の影響は?
州外のオンライン小売業者に対し売上税を課税することで、サウスダコタ州では130億ドルから340億ドルの増収が見込まれている。判決を受け、多くの州が州外のオンライン小売業者に対する売上課税の法整備にとりかかることが予想されるが、ビジネスに対する影響範囲については、不透明な部分も多い。
USA Todayによると米Amazonをはじめとするオンライン販売会社のトップ20社は、ショールームや倉庫などを他州に多く展開しており、ほぼすべての州で税を徴収している。
また、今回の判決は、同州に対する年間の売り上げが10万ドル(約1,100万円)以上、または取引回数が200回以上のオンライン小売業者から売上税を徴収するという、サウスダコタ州の法律に対して下されたもので、基準以下の小規模ビジネスに対する見解は明らかにされていない。これら小規模ビジネスには、eBay、Etsy(エッツィ)、Amazonのオンライン販売の約半分を構成するアマゾンマーケットプレイスのセラーも多く含まれる。
例えば、eBayの典型的なセラーは、年間の売り上げが1万ドルから50万ドルとされている(USA Today)。Etsyのセラーはさらに小規模となり、年間の平均売り上げが1,710ドル(約188,000円)で、10人中8人が個人事業主、また、10人中9人は女性だという。
CNBCによると、21日の判決後、EtsyとeBayの株価は2%以上、ECサイト作成大手のShopify(ショッピファイ)は1%、Amazonも1%近く株価を下げた。一方で、店舗を主軸とするWalmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)、Bestbuy(ベストバイ)の株価は1%上昇している。