スーパーボウルCM リアル肉と植物肉 体に悪いのは?バトル勃発

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2日、フロリダ州マイアミで開催された第54回スーパーボウルは、31対20でカンザスシティ・チーフスがサンフランシスコ・49ersを下し、50年ぶり2度目の優勝を果たした。

スーパーボウルといえば、試合やハーフタイムショーと並んで、各企業の趣向を凝らしたコマーシャルに毎年注目が集まる。

中でも食品業界の擁護団体のCMをきっかけに勃発した、植物肉メーカーとのバトルが話題となっている。

きっかけとなったCMは、単語のスペルの正確さを競うコンテスト「スペリング・ビー」(Spelling Bee)が舞台。審査員が少女に「メチルセルロース(methylcellulose)」のスペルを質問する。答えに窮する少女に審査員は「化学物質でできた下剤で、人工肉にも使用されている。」とヒントを出すが、少女はあえなく不正解となる。CMの最後で「人工肉の中身を理解するには博士号が必要だ。フェイクベーコンやバーガーには数十種類の化学成分が含まれる。スペルや発音が分からないなら、食べない方が良い」とナレーションが流れる。

CMのスポンサーは「センター・フォー・コンシューマー・フリーダム」(CCF)という非営利団体で、同団体のウェブサイトでは「個人の責任の促進および消費者の選択の保護」を目的とした組織と謳っている。CNETは、レストラン、食品企業、数千人の消費者によるロビー活動団体であると報じている。

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CMは首都ワシントンD.C.地区限定で放送された。現在YouTubeではショートとロングの2バージョンを視聴することができる。

アンチ植物肉のCMに対し、植物肉メーカー大手のインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)社がパロディ版を同日YouTube公開し、即座に反撃した。

パロディ版で審査員が問いに出したのは「Poop」(うんち)。まさかのお題に困惑する少女に審査員は「消化不全の食べ物と数十億のバクテリアの混合物で、腸から排出されたもの」と説明。続けて「豚や牛、鶏が食肉となるために殺され、刻まれる場所に多く存在する。そして牛から作られるひき肉には、うんちがついています」と淡々と述べる。当然、少女は正解する。最後のナレーションは、2015年のコンシューマーレポートのひき肉調査に言及。調査を行った300サンプルのすべてで、糞便のバクテリアが発見されたと述べ、「うんちのスペルを綴ることができるという理由で、それを食べるべきではない」と締めくくる。

CCFは植物肉の製造業者を標的に、メディアでたびたび攻撃を行っている。数日前にはドッグフードと植物の成分を比較する内容の全面広告をニューヨークタイムズに掲載していた。

消費者の健康や環境思考を背景に、近年代替肉市場は急拡大している。昨年5月には、インポッシブルと並ぶ大手のビヨンド・ミート(Beyond Meat)社がナスダックに株式公開した。ロイターによると、2018年の代替肉市場は42億ドルで、2023年には61億ドルに成長することが予想されている。