NYの老舗書店ストランド 新型コロナで売上激減。支援訴え

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マンハッタンにある創業93年目の独立系書店「ザ・ストランド・ブックストア」(Strand Book Store)が、新型コロナの影響により売上が約70%減少したとして、地元住民に支援を訴えた。

三代目のオーナー、ナンシー・バス・ワイデン(Nancy Bass Wyden)氏は、人々の往来や観光客の減少、店内でのイベントが開催できなくなったと窮状を説明。
声明で「今後数カ月でストランドの未来が決まる。ワクチンが完成するまで営業を継続できるよう、コミュニティを動員する必要がある」と述べ、購入を求めた。

パンデミック中にアマゾン株購入

ワイデン氏の呼びかけに対し、ジャーナリストや作家など多くの人々が書店の支持を表明し、ウェブサイトは一時繋がりにくい状態となったという。

一方、ワイデン氏と上院議員を務める夫のロン・ワイデン(Ron Wyden)氏(オレゴン州・民主党)は多額の資産を有する億万長者で、パンデミック中にライバルのアマゾン株を購入していることや、政府から100万ドル以上の特別融資を受けながら、全従業員を解雇していたことなどを疑問視する声も寄せられた

ストランドは、ユニオンスクエアの4階建ての建物を自社で所有しているほか、The Oregonian/Oregon Liveによると、ワイデン氏は2011年の時点で、不動産や株式など1200万ドルから5600万ドルの資産を保有している。

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またバロンズは、ワイデン氏が今年4月6日から5月1日の間、3回に分けて11万5,000ドルから25万ドル相当のアマゾン株を購入したと報じた。
アマゾン以外にも、300万ドルから790万ドルの株式を購入しており、アルファベットやアップル、フェイスブック、エクソン、3Mなど優良企業の株式を保有しているという。

なおワイデン氏は昨年1月、アマゾンがクイーンズの第2本社建設計画を発表した際、CNNで州や市が提供した30億ドルの減税措置を非難していた。

ストランドは今年、中小企業の従業員の雇用維持を主な目的とした政府の融資制度「ペイチェック・プロテクション・プログラム」(PPP)を活用し、100万ドルから200万ドルを受け取っている。しかし3月下旬、事業を継続するため、約190人の従業員を一時解雇すると発表した。

ワイデン氏はデイリーメールに対し「建物を所有しているのは幸運なことであり、そうでなければとっくに破産している。しかし、顧客なしには小売業を維持することはできない」と反論。「個人の資産から毎年200万ドルを、書店の運営費用として支出している」と語っている。