露ラブロフ外相 入院報道否定も「バスキアTシャツ」にツッコミ

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G20に出席するために訪問したインドネシアのバリ島で、病院に搬送されたと報じられたロシアのラブロフ外相(72)について、外務省のザハロワ報道官は、報道は「フェイクニュース」だと否定。本人と会話をする動画をSNSに投稿した。

AP通信は14日、複数の現地当局者の情報として、ラブロフ氏が健康上の問題で病院に運ばれたと報じた。その後、「簡単な検査を終えて病院を後にし、健康状態は良好だ」とコステル・バリ州知事のコメントを伝えた。

ザハロワ報道官の動画には、屋外の机に書類を広げ、リラックスした雰囲気で会話をするラブロフ氏の様子が撮影されている。

「病院にいると広く報じられていますが」と聞かれると、ラブロフ氏は「彼ら(西側マスコミ)は、かれこれ10年間もわれわれの大統領が病気だと主張している。政治の舞台では珍しいことじゃない」と主張。「今より誠実になって、より真実を書くことを願う」と批判した。ザハロワ氏は「インドネシアからでした」と締めくくったが、治療や検査を受けたかどうかについて触れなかった。

ラブロフ氏は、米国の伝説的アーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアのグラフィックTシャツに短パンという出立ちで、腕にはアップルウォッチをはめ、机にはiPhoneが置かれていた。

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この「西側」なスタイルに、ネットでは「アメリカを批判しているのに、米国製品が好きなんだ」「西洋資本主義の象徴であるiPhoneを使っている」といったツッコミに加え、裏のメッセージがあるのではないかなど、さまざまな憶測が飛び交っている。

あるユーザーはツイッターに「バスキアのようにバイセクシャルをカミングアウトしたんだろうか?」と投稿。続けて「つまり、彼はTシャツでそれ(同性愛)を宣伝している。”伝統的な家族の価値観の否定を宣伝する情報”に関するロシア法に公然と反対していることがわかってよかった」とコメントした。

ロシアでは2013年、未成年に対する同性愛関係の宣伝行為を禁止し、罰則などを定めた通称「同性愛宣伝禁止法」が成立した。今年7月には、これを拡大する法案が議会に提出されたと報じられている。

バスキアは、1988年にヘロインのオーバードーズにより27歳という若さで他界した。本人は公にしなかったが、多くの女性と恋愛する一方で、男性とも性的関係を持っていたといわれている。

このほか「ラブロフは、有名なバイセクシャルの芸術家の名前の入ったTシャツを着ているけど、反LGBTプロパガンダ法を犯したことにならないの?」といったツイートや、「バスキアのデザインと名前のTシャツを来て、ロシア国民をトロールしているんだ。彼の芸術と生涯は、プーチンらがいつも批判している西側の”退廃”がまとまったものだからね」と、国民をあおる狙いがあるのではないかと勘繰る声も投稿されている。