ウクライナ戦争批判のロシア石油企業幹部 病院の窓から転落死、他殺疑う声も

ロシアの石油第2位「ルクオイル」は1日の声明で、会長のラビル・マガノフ氏(67)が死亡したことを明らかにした。

ロシアのインタファクス通信が、情報筋の話として伝えたところでは、マガノフ氏は1日朝、中央臨床病院の窓から転落し、それによる怪我で死亡したという。

同社によると、ルクオイル社は、会長不在となった場合、取締役会の副会長が会長の役割を果たすとされている。今年の取締役の構成は発表されていないものの、モスクワ州立法科大学の学長が副会長に再指名を受けているという。

ルクオイルはプーチン大統領のウクライナ侵攻の決定に反発を示した企業で、侵攻開始直後、紛争は「外交的手段による、交渉を通じて」解決するべきとの声明を発表していた。

中央臨床病院は、政財界のエリートが利用することで知られ、マガノフ氏が死亡した日、プーチン大統領は同病院で、ソ連最後の指導者で30日に死亡したゴルバチョフ元大統領の弔問に訪れたという。

ロイター通信によると、ロシアのタス通信は捜査当局者の情報をもとに、自殺と伝えている。マガノフ氏は心臓発作を患い、抗うつ剤を服用していたという。

一方、ウクライナ侵攻をめぐってクレムリンに反発していた会長の死に、ネットでは、自殺を疑う声が投稿されている。

ノース・ウェスト・イングランドの首席検察官、ナジル・アフザル氏はツイッターに「プーチンの批判的な人々の周りでは、欠陥の窓がよく見られる」と暗殺の可能性を指摘した。

4月、ロシアの天然ガス企業ノバテクの元幹部のセルゲイ・プロトセーニャ氏とその家族がスペインで死亡しているのが発見された。当時、現地の捜査当局は家族を殺害して、自殺をはかったとみて捜査を進めていると伝えられたが、ノバテク社はこれを疑う姿勢を示していた。同月、ロシア三大銀行のガスプロムバンクの元幹部、ウラジスラフ・アバエフ氏(51)も、妻と13歳の娘とともにモスクワのアパートで死亡しているのが見つかった。現地メディアは、アバエフ氏が二人を殺害した後、自殺した可能性があると伝えていた。

先月14日、プーチン氏に批判的で知られたラトビア系米国人の実業家、ダン・ラパポート氏(52)が、ワシントンD.Cの高級アパートから落下して死亡した。警察は他殺の可能性を否定しているものの、「プーチン最大の敵」ことビル・ブラウワー氏は、ポリティコの取材に「死の状況は、極めて疑わしい」と主張している。

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