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ロシア国営TVの反戦女性、亡命提案断ったワケ

ロシア国営テレビで反戦を訴えたジャーナリスト、マリーナ・オフシャンニコワ(Marina Ovsyannikova)氏が、米ABCの番組に出演し、抗議に至った経緯や、亡命についての考えを語った。

番組エディターのオフシャンニコワ氏は14日、チャンネル1での生放送中、「戦争をやめろ。プロパガンダを信じないで。彼らは嘘をついている」と書かれたプラカードを持って、スタジオに乱入。「戦争をやめろ!戦争にノーを!」と叫び、ウクライナへの軍事侵攻に抗議した。

当初、モスクワ市内での抗議活動に参加する計画だったが、より大きなインパクトを与えるため、この方法を思いついたという。

「より多くの人々から注目を浴び、世界に向けて、ロシア人が戦争に反対していることを知らせるための”何か”を成し遂げたかった」と動機を語り、「ロシア人にも、これはただのプロパガンダであることを示すと同時に、人々に戦争に反対するよう刺激できるかもしれないと思った」と話した。

ロシア人の半数以上が戦争に反対していると述べ、「これはプーチンの戦争で、ロシア人のものではない」と主張した。

政府の番組を利用したプロパガンダは、近年「ますます婉曲されている」と説明。「戦争が始まってすぐ、食べることも、眠ることもできなくなった。われわれが番組で放送するものは、現実で起きていることとは非常に異なる」と語った。

CNNのインタビューにも、政府のプロパガンダに対する不満が募っていたと明かした。不満の感覚が年々増し、自身の信念と、放送で語る内容に「不協和を感じていた」と述べ、ウクライナへの侵攻は「沈黙し続けることができない、後戻りできない段階だった」と説明した。

ロシア当局に拘束された後、裁判所はオフシャンニコワさんに、30,000ルーブル(約3.3万円)の罰金の支払いを命じた。軍事侵攻開始後に施行された「検閲法」では、戦争に反対したり、ウクライナに対する「特別軍事活動」に関する虚偽の情報を拡散した者は、最高で15年の禁錮刑が科せられる。オフシャンニコワ氏は今後、検閲法で起訴される可能性があるという。

「私は愛国者」

オフシャンニコワさんは、フランスから政治亡命の提案があったが、申し出を拒否した。その理由について「自分は愛国者だ」と説明。「私たち家族は、ロシアで快適な生活を送っていた。私はロシアに住みたい。子供たちも同様だ」と述べ、「移民となり、どこかの国に同化しながら、10年以上の人生を失いたくない」と語った。さらに「自国の歴史を信じている。非常に暗く、困難な時代だが、民間人としての立場を知らせたいと思っている人々は、声を上げなければならない。非常に重要だ」と訴えた。

一方、チャンネル1の報道部門のトップKirill Kleimyonov氏は21日の番組で、オフシャンニコワ氏は、抗議活動の前に英国大使館と連絡を取っていたと主張。「国とわれわれを裏切った」と非難した。

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