「資格もってない」ロボット弁護士が訴えられる

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人口知能を搭載した「世界初のロボット弁護士」DoNotPayに対して、米国で集団訴訟が起こされた。原告は「無許可の弁護士活動」だとし、裁判所に停止を命じるよう求めている。

DoNotPayは、AIチャットボットが法律情報を提供し、提出文書を自動で作成するなどのサービスを提供している。ホームページでは「ボタンを押すだけで、大企業と戦い、官僚機構を打ちまかし、誰でも訴えることができる」と謳っている。

スタンフォード大の元学生だったジョシュア・ブラウダー氏が2015年に創設したもので、当初は英国で駐車違反切符に不服を申し立てるサービスから始まった。その後、地域とサービス分野を拡充し、現在は米50州と英国で、空港会社へのクレーム、クレジットカードや銀行、賃貸契約、離婚、選挙に関するものなど、ホームページには150を超える分野が並んでいる。

訴状では、原告は「ジョナサン・ファリディアン個人として、および同様の立場にあるすべての人を代表して」とされ、資料にはシカゴの法律事務所エデルソンの弁護士らの名が並んでいる。

デイリーメールによると、原告はその中で「資格のある弁護士から使用に適した法的資料やサービスを購入したと信じていたが、そうではなかった」とした上で、「悲しいことに、DoNotPayは論点が外れている。弁護士でもなく、弁護士に監督されることもなく法的サービスを提供するのは、無謀で危険だ」と主張。「現実世界では、顧客に有害な結果を招く」とした。

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さらに、オンラインに投稿されたレビューの中にある、駐車違反金が膨れ上がったと主張する例などを挙げ、「資格の保持者になりすましている」と批判した。

訴状では、創業者も弁護士ではないと指摘している。

これに対して、ブラウダー氏はツイッターで、「DoNotPayはアメリカで最もリッチな集団訴訟の弁護士に追い込まれることはない」と戦う意向を表明。原告の主張には問題があるとした上で、「反撃する。われわれにはレシートがあり、隠すものはないし、自分たちを守るつもりだ。ロボット弁護士を使うことだってあるかもしれない」と、AIを法廷に持ち込む可能性を示唆した。

ブラウダー氏は、原告のファリディアン氏はJ.D.(法務博士)を取得し、弁護士になるためのトレーニング中の人物で、エデルソン事務所がフェイスブック広告を使って探し当てたものだとした。

ブラウダー氏はまた。エデルソンこそがロボット弁護士を開発するきっかけになったとも主張。「彼は法律に関して悪しきものすべてを象徴している。最近のフェイスブックとの和解では、9,750万ドルで和解したが、少数の消費者が375ドルを得ただけで、複雑な”申し立て書”を記入できなかった大半の消費者はゼロだった」と非難した。

「いつも勝つのは弁護士だけだ。だから私は消費者が企業に立ち向かう力を持つためにDoNotPayのロボット弁護士をつくり、何かをしたいと考えた」と続け、「その結果、エデルソンはわれわれを阻止するキャンペーンを開始したのだ」と投稿した。