ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が23日、ワシントンDCで開かれたワクチン義務化に対する抗議集会で行った演説を巡り、アウシュビッツ=ビルケナウ博物館が非難声明を発表した。
ケネディ氏は、故ロバート・F・ケネディの息子で著名な反ワクチン活動家、陰謀論者として知られる。
ケネディ氏は演説中、「ヒトラー時代のドイツでさえ、アルプスを超えてスイスに逃れることができた。アンネフランクのように、屋根裏に隠れることもできた」とした上で、「今日、誰も逃げ隠れできないようなメカニズムが導入されている」と、政府によるワクチン義務化の状況を、ナチスと比較。続けて「政府は5Gを設置して、市民のデータを収集、行動を管理している。仮想通貨によって、遠隔からわれわれを罰し、食糧供給を遮断することが可能になる」と述べるなど、陰謀論めいた話を展開した。
At the antivaxx rally in DC, RFK Jr. says that in the future “none of us can run and none of us can hide” because of Bill Gates’ satellites and also 5G, unlike… the Holocaust.
— Ben Collins (@oneunderscore__) January 23, 2022
“Even in Hitler’s Germany, you could hide in the attic like Anne Frank did.” pic.twitter.com/bRtmDBTxZl
一連の発言に対し、博物館がツイッターに声明を投稿。ケネディ氏の発言は「アンネ・フランクのような子供を含む、ナチスの全体主義により、苦しみ、辱められ、拷問を受け、殺害された人々を襲った悲劇の悪用」で、「道徳心と知性衰退の悲しい症状」と遺憾の意を表明した。
Exploiting of the tragedy of people who suffered, were humiliated, tortured & murdered by the totalitarian regime of Nazi Germany – including children like Anne Frank – in a debate about vaccines & limitations during global pandemic is a sad symptom of moral & intellectual decay.
— Auschwitz Memorial (@AuschwitzMuseum) January 23, 2022
反ワクチン派の著名人らが参加
集会ではケネディ氏のほか、反ワクチン派の著名人らも複数参加した。The Hillによると、ジョー・ローガンのポッドキャストで行った発言が、音楽配信サービス「スポティファイ」に対する誤情報規制呼びかけの発端となった、ロバート・マローン氏、元CBSニュース記者のララ・ローガン氏も姿を見せたという。マローン氏は、mRNA技術の初期研究に参加した科学者だが、現在はワクチンに批判的な立場をとっている。
ララ氏は、昨年11月、米感染症対策のトップ、アンソニー・ファウチ博士をアウシュビッツで人体実験をした医師、ヨーゼフ・メンゲレになぞらえたことで批判を浴びた。
ワシントンDCでは最近、レストランやバー、スポーツジム、イベント会場、ナイトクラブなどを利用する場合、新型コロナワクチンを少なくとも1回接種済みであることを義務化した。
集会にはリンカーン記念堂やワシントン記念塔の前には数千人が集まったが、コロンビア特別区首都警察によると、逮捕者は出ていないという。