パンデミック中のアジア人への憎悪事件 3,800件

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アジア系アメリカ人と太平洋諸島の人々への暴力および嫌がらせを追跡する団体「ストップAAPIヘイト」(Stop AAPI Hate)は16日、2020年3月19日から2021年2月28日の間、米国でのアジア人への憎悪事件は約3,800件報告されたと発表した
2020年は3,292件で、2021年に入ってからは503件の報告が寄せられているという。

  • 68.1%が口頭での嫌がらせで、20.5%がアジア人を敬遠または意図的に避ける、11.1%が身体への暴行、7.2%が咳をかけられたり、唾をはかれた。このほかに、落書きや職場差別、施設の利用の禁止などがある。
  • 地域別の上位は、カリフォルニア州1,691件(全体の44.5%)、ニューヨーク州517件(13.6%)、ワシントン州で158件(4.1%)。
  • 憎悪事件が発生した場所は、35.4%が事業所、25.3%が歩道や道路、オンライン上での事件10.8%だった。
  • 被害者うち42.2%が中国系アメリカ人で、次いで韓国系(14.8%)、ベトナム系(8.5%)、フィリピン系(7.9%)、日系(6.9%)。
  • 男女別では、被害にあった女性の割合は68%で、男性(29%)の2.3倍となっている。

報告書では、具体的な差別の例も紹介されている。

  • 買い物している最中、「お前らの会社は上場廃止となり、留学生は帰国させられた。お前はいつ送還されるんだ?われわれはお前らの市民権を奪い去る」と罵られた(CA州ミルピタス)
  • 食料品店の中で「汚らわしいアニマルめ。店から出て行け。家に帰れ。この国から出て行け」と罵られ、店の中をつけ回された(ニューヨーク市)
  • 白人男性に道路で後をつけ回され「Chink」(中国系、東アジア系へ蔑称)「Cunt」(女性の蔑称)と呼ばれた。周りの人は見ているだけで何もしなかった(NY州ブルックリン)
  • エスカレーターの後ろから背中を押され、押しのけられた。上に上がった後、取り囲まれ「チャイニーズビッチ」と呼ばれ、咳をかけられた。数日後に同じ男性が、ティーショップのオーナーにペッパースプレーをかけたというニュースを見た。(VA州アナンデール)
  • アジア人が抗議デモを行っていた際、ベンツに乗った白人男性が「バカなアジア人め」と叫んだ後、抗議者のいる歩道に向かって攻撃的な運転をした。(CA州エルクグローブ)
  • コーヒーショップで座ってると、周りにいた他の人が場所を変え、店の反対側に座った。入店した人からも避けられた。(FL州ネイプルズ)
  • 配車サービスを利用した際「クソ。またアジア人か。コロナにかかっていないことを願う」と述べ、窓に頭を向け近づかないそぶりをした。降車した際「もう利用すべきではない」と言われた。(NV州ラスベガス)

ストップAAPIヘイトは昨年10月に公表した報告書で、トランプ氏を「パンデミックに関連する反アジア系アメリカ人のレトリックの政治家で、最大の拡散者」と非難している。

報告書が発表された日、ジョージア州アトランタでは、アジア系マッサージ店を狙った連続銃撃事件が発生した。8人が死亡し、そのうち6人はアジア人だった。
同団体は声明で「高度なレベルの人種差別攻撃に動揺が広がっている。–言い表せないほどの悲劇だ」と述べた。

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