発砲後、女性の叫び声が聞こえ、車はゆっくりと前進。警官が「発砲あり!」「車を停めろ」と叫び、後を追った。映像は、車が店の出入り口付近で停止し、警官が運転席の窓を破壊する場面で終わる。
遺族と代理人の弁護士は、警官の対応を「権力のいまいましい濫用」と非難。ヤンさんの死は「回避できた」と主張している。発砲は「犯罪行為」だとして「即座に起訴」するよう求めた。
ブレンドン・タウンシップ警察のジョン・ベルフォード警察署長は25日の声明で、事件は「悲劇だった」と述べ、遺族の悲しみと怒りはもっともなことだと理解を示した。
一方で、警官は「何十回」と車から出るよう警告したと強調したほか、発砲後、通りがかりの救急医とともに「即座に救援活動」を行い、救急隊員は通報から9分以内に現場にかけつけたと説明した。
ベルフォード氏によると、ヤンさんは過去に、窃盗や警察から逃走した罪で起訴されていたという。今回、車の中から盗んだ酒が発見されたかどうかは明らかにしなかった。
警察は、ヤンさんは警官が車に触れている時に、車を発進させたことから、2人の警官を、危険運転傷害未遂罪や暴行罪の被害者だとみなしている。被害者の権利を保護する同州の法律「Marsy’s Law」により、氏名は公表しない方針としている。
NBCニュースによると、事件に関わった2人は、休職を命じられたが、発砲していない警官はすでに復職しているという。
専門家は、今回の事件について警察の訓練を見直すべきだと主張している。
警官の走行車両への発砲撲滅に関する著書を執筆しているウィスコンシン大学ロースクールのジョン・P・グロス教授はAP通信に、万引きの容疑者に向けて、銃を抜く必要があったのかと疑問を呈した。
また、車の前に立ちはだかるのは「武力行使が、より必要となる」可能性があることから、「悪い戦術」だと指摘。体を張って停車することはできないため、自ら危険な立場に身を置くべきではないと述べた。
現在の警察の訓練は「(容疑者による)抵抗と脅威をただ結びつけているだけ」と説明し、見直しの必要があると語っている。