上院の新最高裁判事の承認採決にオバマ氏が反対声明、ギンズバーグ判事死去で

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ルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判所判事の訃報が流れてから間もなく、与党上院のトップ、ミッチ・マコーネル院内総務は、トランプ大統領が新たに指名する最高裁判事候補に関して、本会議で採決を実施する意向を明らかにした。

マコーネル氏は「われわれがトランプ大統領と共に取り組み、特に彼の連邦司法に対する傑出した任命など、彼のアジェンダを支持することを約束したことが理由で、国民は2016年にわれわれを再び与党に選び、2018年にもこれを拡大した。再び、われわれは約束を守る。」と理由を説明。「トランプ大統領の候補者は、米国上院議会で採決を行う」と語った。

これに対し、チャック・シューマー野党院内総務はツイッターで「次の最高裁判事の選定に関して、国民の意見が反映されるべきだ。よって、この空席は新大統領が誕生するまで埋められるべきではない」と反対を表明した。

シューマー氏の投稿は、2016年2月にアントニン・スカリア判事が亡くなった直後、マコーネル氏が発表した声明を引用したもの。選挙年だったこの年、マコーネル氏は、判事は新大統領によって選ばれるべきとの立場を主張。オバマ大統領は3月にメリック・ガーランド判事を指名したが、承認手続きが行われないまま、第114議会の会期が終了した。

上院司法委員会メンバーのダイアン・ファインスタイン議員(民主党)も「いかなる状況でも、上院は大統領就任式までギズバーグ判事に代わる判事を検討するべきではない」と主張。「マコーネル上院議員は2016年に彼の立場を明確にしている。オバマ大統領の指名を拒否するため、スカリア判事の空席を10カ月間保った」と矛盾を指摘した。

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党内の離反者の可能性は?

共和党の現在の議席数は53議席。新判事を承認するために、マコーネル氏は、マイク・ペンス副大統領による議長決裁票を含めると、最低50人の上院議員の同意を得なければならない。

The Hillによると、共和党のリーサ・マーカウスキー(Lisa Murkowski) 議員 (アラスカ州) は先月、ガーランド判事の件に触れ、新判事の採決を進めることは「ダブル・スタンダート」になると主張。「われわれは、それをするべきではない」と語っていた。また、ギンズバーグ判事の死亡が発表された同日にも、ラジオのインタビューで「最高裁判事候補の承認に投票しない。選挙まで50日かそこらだ」と語った。

再選に関する世論調査で苦戦が報じられているスーザン・コリンズ議員(メイン州)は今月、ニューヨークタイムズの記者に「近すぎる」と選挙前の承認採決を支持しない意向を表明。またトランプ氏が負けた場合、新大統領の就任前に承認することに反対する立場を示した。

2016年当時、司法委員会の委員長だった共和党の重鎮、チャック・グラスリー議員(アイオワ州)は先月「2020年にも2016年と同様のことをする」と考えを語っていた。

なお、トランプ大統領の弾劾裁判で、共和党で唯一有罪表を投じたミット・ロムニー議員は、まだ考えを明らかにしていない。

マコーネル氏が承認までにどのようなスケジュールを描いているか不明。The Hillは、上院では早くて来週から11月の選挙まで休会に入る可能性があると報じている。なお議会調査局によると、大統領による指名から承認までの平均日数は70日間だという。

オバマ前大統領が反対声明

オバマ前大統領はメディアムに公開した声明で、ガーランド判事に適用した原則を守るべきだと主張した。

オバマ氏は「4年半前、メリック・ガーランド判事について共和党が公聴会または採決を拒否した際、彼らは、新大統領が就任するまで最高裁判所の空席を埋めるべきではないという原則を考案した」と述べ、「法の基本原則は、当面の便宜や利点ではなく、一貫性をもってルールが適用されることだ」と語った。

さらに、裁判所の判決は、経済や社会の公平性、環境、民主主義の存続など、将来の世代に重大な結果をもたらすとして、「非の打ち所がないプロセス」を通じて承認がなされるべきと考えを語った。