ニューヨーク市警察(NYPD)は、2015年に起きた映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏(Harvey Weinstein)氏による性的暴行事件を、再び調査すると地元メディアのDNAinfoに語った。同事件は、イタリア人モデルが警察に被害を訴え、調査が進められていたが、検察により証拠不十分と判断され、捜査は終了していた。
また、NYポストによると、ニューヨークタイムズやニューヨーカーなどによる一連の報道を受け、NYPDのロバート・ボイス主任刑事(Robert Boyce)は、11日、特別被害者部門に、ワインスタイン氏の被害者と想定される人々を探し出し、インタビューするよう命じたという。
"His conduct shows he’s been at this a long time, and he’s a professional at it" https://t.co/PkvGyuK6ij
— New York Post (@nypost) October 12, 2017
アンブラさんへのセクハラ事件
10日、ニューヨーカー誌は、ワインスタイン氏よりセクハラを受けた13名の証言と共に、NYPDより入手した音声テープのやりとりを公開した。
Weinstein, in conversation with Gutierrez, admits to groping her. Here’s the audio: https://t.co/zSQbK5NV0c pic.twitter.com/vmrrSUp43w
— The New Yorker (@NewYorker) October 10, 2017
2015年、ワインスタイン氏は、トライベッカのオフィスでイタリア人モデルのアンブラさん(Ambra Battilana Gutierrez)に対して、セクハラ行為に及んだ。
アンブラさんは、NYPDに被害を申し出た後、警察による指導の元で、録音機材をつけ、トライベッカグランドホテルでワインスタイン氏と再び会った。録音されたテープには、前日に胸を触れらたことや、ワインスタイン氏が、自らの権力を誇示しながら、アンブラさんをホテルに誘い入れる声などが録音されている。
しかし、検察は犯罪を証明するには不十分と判断し、捜査はそのまま終了した。
The International Business Timesは、この事件の不起訴を決定した後、マンハッタン地区の検事、サイラス・ヴァンス・ジュニア氏(Cyrus Vance, Jr)は、ワインスタイン氏の弁護士のうちの一人、デビット・ボイス(David Boies)氏より、1万ドル(約110万円)の寄付金を受け取っていたと報じた。
BREAKING: Weinstein's lawyer gave Manhattan DA $10K after he declined to file sex assault charges against Weinstein https://t.co/LIKNFRWAUv
— David Sirota (@davidsirota) 2017年10月5日
ボイス氏の法律事務所は、事件が起きた2015年には、同弁護士はワインスタイン氏を担当していなかったと同サイトに語っている。
ボイス氏は、ヴァンス氏のファンドレイザー(資金調達者)でもあり、彼が政治家として立候補する際のキャンペーン費用として、2008年以来、合計5万5千ドルを寄付しているという。
ワインスタイン氏によるセクハラ事件報道の流れ
10月5日、ニューヨークタイムズ紙は、ワインスタイン氏の30年以上にわたり繰り返されたセクハラ行為の記事を掲載。女優のアシュレイ・ジャッドさん(Ashley Judd)やローズ・マッゴーワン(Rose McGowan)さん、元従業員や元従業員へのインタビューを掲載し、少なくとも8人の女性に対して、和解金が支払われたと報道した。記事の中に、イタリア人モデルのアンブラさんの事件も含まれている。
ワインスタイン氏は、セクハラの事実を認め謝罪するも、NYタイムズの記事は噂を元に書かれたもので、法的措置を取ると発表。
NYタイムズの報道後、ワインスタインカンパニーの役員は緊急会議を開き、ワインスタイン氏は会社の規約に違反したとして、メールで同氏の解雇を通知した。
NYタイムズは、10日、女優のグウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)さんや、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さんのインタビューを掲載。
記事では、グウィネス・パルトローさんは、1996年映画「エマ」の主役に抜擢された後に、アンジェリーナ・ジョリーさんは1990年代後半に映画公開の際にホテルに呼び出され、セクハラ行為を迫られたという。
Gwyneth Paltrow and Angelina Jolie said Harvey Weinstein sexually harassed them when they were young actresses https://t.co/O9xBKp45Ye
— The New York Times (@nytimes) 2017年10月10日
同日、ニューヨーカー誌は、セクハラで被害にあった女優のアーシア・アルジェントさん(Asia Argento)やルシア・エバンスさん(Lucia Evans)、ミラ・ソルヴィノ(Mira Sorvino)さんや、元従業員ら13人の証言を掲載。中には抵抗することができず、レイプされた女性もいる。
ワインスティーン氏の妻、ジョージーナ・チャップマンさん(Georgina Chapman)は離婚を発表。
その後も、女優のカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)や、レア・セドゥさん(Léa Seydoux)は、突然キスされるなどのセクハラを行われたと、声を上げる人が相次いでいる。
11日、セクハラ報道以来、初めてメディアの前に姿を現したワインスタイン氏。LAの自宅より出てくるところを、レポーターに直撃された。
ワインスタイン氏は、「いい状態ではないけど、なんとかしようとしている。助けが必要なんだ。がんばっている。ベストを尽くしているよ。誰でも間違いは起こすものさ。セカンドチャンスがあることを祈るよ。」と言いながら車に乗り込んだ。
ワインスタイン氏は、セックス中毒のリハビリテーションを行うため、アリゾナに向かったという報道もある。