NY市 新型コロナ感染者 地域別マップ公開。低所得地域に影響か

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ニューヨーク市保健局は1日、郵便番号の区域別に、新型コロナウイルスの感染者数を示す地図を公開した

地図は、31日時点の感染者数(38,936人)を元に作成された。感染者は、ウエストクイーンズやサウスブロンクス、ブルックリンのイーストニューヨークなどで最も多い。一方、マンハッタンやクイーンズの湾岸エリア、ロッカウェイズ、ブルックリンのプロスペクトパークなどでは、感染者が少ない。

New York City Department of Health and Mental Hygiene

ニューヨークタイムズは、一般的な世帯収入が6万ドル(約650万円)以下の家庭が多い地域で、緊急治療室を訪れる人が増加していると指摘している。
市内最多の947人の感染者が確認されたクイーンズのコロナ(Corona)地区の平均世帯収入は、約4.8万ドル(約515万円)だという。

先週、コロナ地区に近いエルムハースト病院(Elmhurst Hospital)には、患者が殺到したことから「震源地」として報じられた。同病院で20年間勤務する医師は、感染拡大の理由として、多世代が狭い住宅に住んでいるため、自主隔離のスペースの確保が困難であることや、言葉の障壁、在留資格の問題があると地元メディアに語っている。

ニューヨークポスト紙は、この地図は、パンデミックによって、最も所得の低い市民が影響を受けたことを示していると報じた。

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データサイエンティストのマイケル・ドナリー(Michael Donnelly)氏は同紙に対し、保健局の地図と地下鉄のデータには関連性があると指摘している。
感染拡大が始まった3月上旬、マンハッタンでは、テレワークに切り替えた企業が増え始め、地下鉄の利用者も急速に減少した。同氏によると、このことが感染増加のペースを抑制し、感染拡大を抑えた可能性がある。
マンハッタンの駅の利用者が40%以上減少する一方で、ブロンクスは16%減、クイーンズは22%減にとどまるなど、マンハッタン以外の住民は、電車での通勤を続けていた。

ドナリーさんは「もしこれが真実であれば、真の社会経済的な不平等があり、これらの郵便番号の地域に住む人々は、パンデミックの影響をより強く受けることになるだろう。」と語った。現在も必需事業である食料品店やデリバリー、救急隊など、遠方から電車で通っている人も多い。

ニューヨークポストは、集団感染が発生した可能性のあるブルックリンのウィリアムズバーグや、ファーストレスポンダーの多いスタテンアイランドなど、所得と関連しない地域もあるとしている。

ジョンズ・ホプキンス大学によると、2日午前1時現在のニューヨーク市の感染者は47,439人、死者数は1,374人となっている。

市が地図を公開するのは、先週に続き2回目。前回は陽性反応が確認された患者の割合を示した地図を公開していたが、不十分だという声が寄せられていた。