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29日、ニューヨークのビル・デブラシオ市長は、住民と市外から訪れる人々をオンライン詐欺や犯罪から守るためのサイバーセキュリティに関する取り組み、NYC Secure を発表した。
Cyber attacks threaten our safety online. We won't wait to protect our people. Introducing #NYCSecure: https://t.co/wElgbZbaRu
— Bill de Blasio (@NYCMayor) March 29, 2018
計画はニューヨークのサイバーディフェンス強化のために2017年に市長のエグゼクティブオーダーにより発足したNYC Cyber Command (NYC3)が進めるもので、第一弾として、スマートフォンを悪質なサイトや攻撃から守るための無償のアプリを今年の夏より提供する。
NYC Secure アプリ
発表によると、アプリは悪質な攻撃や活動を探知し、ユーザーに警告をするとともに、悪質なWi-Fiネットワークやウイルスに感染したサイト、悪質なアプリをアンインストールするなどのプロテクトの手順をナビゲートするものになる。
アプリは厳格な個人情報保護ポリシーのもと設計されており、個人を特定しうる情報へのアクセスや個人データの収集や送信を行わずに作動する。モバイル上の脅威を探知する同様の技術はこれまでに商品化されているが、それらは外部のクラウドに情報を送信し、分析するもので、スマホを守るためにユーザーが個人情報を犠牲にしなければならない。ニューヨーク市の提供するアプリはこの点で異なる。
公衆Wi-Fiにセキュリティー新技術
さらに、市内のWi-Fiネットワークに新たなセキュリティのレイヤーを設けることで、利用者の安全を強化する。このレイヤーはランサムウエアのような悪質なソフトのダウンロードやユーザーネームやパスワード、カード情報などを不正に得ようとするフィッシングサイトをユーザーがブラウズすることから守るもので、アプリ同様にユーザーの個人情報を使用または蓄積せずにブラウジングを守る新たな技術が採用されるという。この技術はニューヨーク市の機関や関連組織すべてが提供するWi-Fiに対して、今年末までに導入をはかる。すでに市内1400箇所に設置され、数百万人が使用するLinkNYCネットワークにも導入されるという。
IT分野の調査機関であるガートナー(Gartner)の発表では、2017年初頭の段階で、モバイルフォンはウェブトラフィックの50%に達しており、アメリカのスマホユーザーの標準的な使用時間は5時間にのぼる。飛躍的な使用率の向上に対し、多くのモバイルフォンはハッカーからの攻撃を受けやすく、2020年には、サイバーアタックの30%はモバイル機器に向けたものになると予測されている。
McAfee社のクリストファー・ヤング(Christopher Young)最高経営責任者(CEO)は、ニューヨーク市の取り組みに対し、「ハッカー達はモバイル機器やモバイルネットワークへの攻撃を強めており、我々は公衆安全の意識を高めていかなくてはならない」と述べ、「ニューヨーク市のような取り組みは、増加するサイバーアタックに対する意識を促し、市民にさらなるアクションを喚起する助けとなる」と、市や自治体レベルでの取り組みの必要性を述べた。