NY市アジア人女性暴行事件 目撃者のドアマンら解雇

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アジア人ヘイトクライム ニューヨーク
©mashupNY

ニューヨーク市で起きた65歳のアジア人女性暴行事件に関して、建物の中から暴行の様子を目撃していたドアマンとコンシェルジュが解雇された。6日、ビルのマネジメント会社が発表した。

男性らは女性を助けようとしなかったとして、非難の声が多く寄せられていた。監視カメラの映像には、暴行の様子を見ている配達人の姿や、男が去った後、道路にうずくまる女性を前に、ドアを閉めようとするビルのスタッフが確認できる。

マネジメント会社のブロドスキー・オーガニゼーション(Brodsky Organization)は声明で「ロビーの監視カメラの完全映像では、加害者が去ったのち、ドアマンが被害者を助け、ニューヨーク市警察の車両を止めている」と述べつつ、「必要とされる緊急かつ安全手順が遵守されなかったのは明白」と解雇理由を発表した
さらに、反バイアスに関する意識や、その場に居合わせた人物による介入、適切な緊急対応手順などについて、社内で再教育を実施する計画だと述べた。

同社は事件後、労働組合と協力して状況を調査するとし、この間、目撃した2人の従業員を停職させていた。2人は、男がナイフを出すのを見たため、止めに入らなかったと説明しているという。

国際サービス従業員労働組合(32BJ SEIU)のKyle Bragg委員長は、組合は解雇の決定に関与しておらず、解雇された2人は、異議申し立てを行ったと発表した。組合員の多くは移民かつ有色人種で「職務上不当な扱いを受けることが多い」と述べ、彼らは契約に記された公正なプロセスを受ける権利があると主張している。

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容疑者はヘイトクライムで起訴

NYPD

事件があったのは先月29日昼頃。被害者はフィリピンからの移民Vilma Kariさんで、教会に向かう途中、男から殴る蹴るの暴行を受けた。その際、男は「お前はここの人間じゃない」などと罵ったという。Kariさんは、骨盤の骨折と頭部を打撲する重傷を負ったが、現在は退院している。

娘のElizabeth Kariさんは、母親の治療費用を求めるため、GoFundMeのキャンペーンを開始した。目標額は2万ドルだったが、現在25万ドルの募金が集まっている。Elizabethさんは、ビデオには映っていないものの、事件発生時、通りにいた人物が大声で叫び、助けを求めてくれたと感謝の気持ちを綴っている。

ニューヨーク市警察は31日、ホームレスの男ブランドン・エリオット(Brandon Elliot)被告(38)を逮捕した。2件のヘイトクライムとしての第2級暴行罪、1件のヘイトクライムとしての第1級暴行未遂の罪で起訴されている。

エリオット被告は2002年、ブロンクスで42歳の母親を刺殺し、第2級殺人罪で有罪判決を受けた。17年間服役した後、2019年12月に仮釈放され、生涯にわたり保護観察を受けることになっていた。