AirTagを無料配布 ニューヨーク市長 自動車盗難増加に新たな一手

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ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は30日にブロンクスで開いた会見で、増加する自動車の盗難事件の対策に、アップル社のAirTagを無料で配布すると発表した。

市長は、発砲や殺人、強盗など他の犯罪件数が減少している一方で、自動車の盗難が増加していると指摘。「Airtagは気付かれないように車に隠す、優れた追跡デバイスだ」と述べ、盗難が多発しているブロンクス第43管区の住民に、非営利団体から寄付を受けたAirTag500個を配布するとした。さらに他の組織とも連携し、同様の寄付を呼びかけていく意向を示した。

同地区では今年に入り207件の盗難が発生している。ニューヨークポスト紙によると、市全体では4月23日の時点で4,492件となり、昨年同時期の3,966件から13%増加した。

追跡の手続きについては、一元化されたシステムではないとも強調。警察は、盗難車の所有者の通報と許可を得て追跡するものだと述べた。

ニューヨーク市警察はこの日、AirTagの情報をもとに、パトカーやドローンを使って追跡するデモ映像を公開した。

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キアとヒュンダイの盗難が増加

アダムス市長は会見で、キアとヒュンダイの自動車が盗難件数を押し上げていると指摘。「われわれは彼らを訴えている。なぜなら彼らはもっと良い仕事をするべきだからだ」と述べつつ、昨年7月にTIkTokで出回ったチャレンジが、原因だと話した。

チャレンジは「キアチャレンジ」と呼ばれ、昨年夏頃、#KiaBoyzのハッシュタグとともにキアやヒュンダイの車を盗難する手口がTikTokで拡散された。

9月にカリフォルニア州オレンジ郡で、起亜自動車アメリカと現代自動車アメリカに対して起こされた集団訴訟では、原告は一部の自動車に「イモビライザー」(immobilizer)と呼ばれる盗難防止のためのパーツが欠け、USBケーブルやスクリュードライバーで車を盗むことができると主張。損害賠償金の支払いと全国でのリコールを求めている。

さらに10月、ニューヨーク州北部のバッファローで、10代の若者らがキアチャレンジで盗んだ車で衝突事故を起こし、4人が死亡している。