満を持して2024年大統領選への出馬を表明したトランプ前大統領だが、メディア王ルパート・マードック率いるニューズコープ傘下のニューヨークポスト紙は、ギャングの発砲事件を一面トップで扱い、出馬表明については、下部に「フロリダマンが発表した」と、名前も示さずに掲載した。

中間選挙からちょうど一週間が経過した15日、トランプ氏は、フロリダの邸宅マールアラーゴのボールルームに数百人のゲストを招き、出馬発表を盛大に行った。トランプ陣営の元顧問、ジェイソン・ミラー氏によると、イベントには250台のカメラの申し入れがあったという。

1時間を超えるスピーチの冒頭、「アメリカのカムバックは今ここで始まる」と宣言。その後「アメリカを再び偉大で輝かしい国にするため、私は今夜、アメリカ合衆国大統領への立候補を宣言する」と再びホワイトハウスを目指す意向を表明した。

「レッドウェーブ」が起きるとの主張もあった中間選挙だが、共和党は予想外の苦戦を強いられ、上院で多数派の奪還に失敗した。下院では多数党に返り咲くことが確定したが、圧勝とは程遠い結果となっている。トランプ氏が推薦した候補者らは、勝利する者が多かったものの、接戦州で負け越し、保守派の一部では、不振の原因をトランプ氏に求める声も上がっている。上院選ではジョージア州が決選投票にもつれこんだことから、トランプ氏は出馬表明を見送るべきといった論調もあった。

そうした中、マードック氏の媒体はいち早く、再選を賭けたフロリダ州知事選で大勝したロン・デサンティス知事(43)を“新たな共和党のリーダー”と持ち上げる報道を展開していた。

ニューヨーク・ポストでは投開票から一夜明けた9日、朝刊の一面にデサンティス氏の名前をもじった「DeFUTURE」という見出しとともに、同氏が家族と再選を祝う写真を掲載し大々的に報じた。

翌10日の一面では、「Trumpty Dumpty」と見出しを打ち、卵の姿で有名なキャラクター「ハンプティ・ダンプティ」とトランプ氏の顔を掛け合わせた加工画像に「ドンは(壁は立てられなかったが)大きく転落した――共和党を再びまとめ上げることができるのか?」とコメントを添えて掲載。ウェブ版ではさらにこの紙面の画像に「TOXIC TRUMP(有害なトランプ)」とキャプションを添えるなど、露骨なトランプ叩きを展開した。

出馬表明について、もう一つのマードック氏の主要メディアで全米最大の発行部数を誇るウォール・ストリート・ジャーナルは、一面で「Trump Enters 2024 Campaign after Tough Midterms for GOP(共和党にとって厳しい中間選挙後にトランプが、2024キャンペーンに突入した)」と報じた。

ニューヨークタイムズは「Declaring Run, Trump Ignores Party Setbacks(出馬宣言、トランプが党の挫折を無視)」、ワシントンポスト紙は「Trump ignores party’s pleas, launches his bid(トランプ 党の請願を無視して名乗り)」と、党の意向に反する点を強調した。USAトゥデイは一面で扱わず、ロサンゼルスタイムズは「Trump Runs Again Uphill(トランプがアップヒルに再び出走)」と前途多難な道のりを予想した。