NY州 老人ホームの新型コロナ死者数4,813人に。1週間で1,700人追加

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ニューヨーク州は4日、3月1日から5月3日までの間、老人ホームにおける新型コロナウイルスの死者数は、少なくとも4,813人にのぼると発表した。4月28日に発表した3,025人から約1,700人が追加された。

AP通信によると大幅な増加は、検査で感染が確認されていないが、新型コロナウイルスによるものと推定する死亡数を初めて加えたため。
なお、老人ホームの入居者で、病院で死亡した人は含まれていない。

改定されたリストでは、ニューヨーク市やロングアイランドなど22カ所の各施設で、少なくとも40人以上の死者数が報告された。62カ所の施設で20人から39人の死者が報告された。
クイーンズの「パーカー・ジューイッシュ・インスティテュート」(Parker Jewish Institute)では71人。また、705床を有する市内最大規模の「イザベラ高齢者センター」(Isabella Geriatric Center)では、64人の死者が報告された。
イザベラセンターの関係者は、病院に搬送された患者を含め、98人の入居者が死亡したと語っている。なお広報担当者は、当初検査キットが不足しており、無症状者を隔離することができなかったと述べている。

スタッフや医療用品の不足、州の規定に批判

abc7ニューヨークによると、老人ホームでは、検査キットや個人用保護具、スタッフの不足や、感染者の治療体制の支援が行き届いていないとして、擁護団体などから州に批判が寄せられている。

ニューヨーク州は、3月6日から老人ホームに対して訪問者への検疫を指示。12日から、施設への訪問を全面的に禁止し、職員に体温検査を義務付けた。
一方、3月25日には、新型コロナウイルスと診断された、または感染の疑いがあるという理由で、再入居もしくは入院を拒否すべきではないと規定を定めた。
クオモ知事や州政府は、老人ホームの入居者が病院に残されたり、行き場を失うことがないようにするための方策だと主張している。
その後4月1日には、州の規定により、病院や老人ホームに対し、民事および刑事責任の免責を与えると発表した。
老人ホームの居住者や家族の擁護団体は、同規定を批判。老人ホームで発生した新型コロナの症例について透明性の向上を求めたほか、3月25日の規定についても疑問視している。

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死者の半数が老人ホーム入居者の可能性

ニューヨークタイムズによると、州では4月17日以降、老人ホームの死者数を公表し始めたが、悪評を恐れ、正確な数を開示しない施設もあったという。

ハーバード大学で老人ホームの研究を行なっているDavid C. Grabowski氏は、マサチューセッツやニュージャージー、ペンシルベニア州などの例を挙げ、最終的なデータでは、全ての州で新型コロナの死者の約半数が、老人ホームの入居者となる可能性があると指摘している。