ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)州知事は7日、感染が拡大する新型コロナウイルス(COVID-19)に関し、州全域に非常事態を宣言した。
非常事態宣言により、清掃道具や除菌用ローションなどの高額販売の取り締まりや、医療器具の調達や検査実施の迅速化が可能となる。
発表によると、7日時点で州内の感染者数は76人となった。このうち10人が入院しているという。昨日の発表では、感染者は44人だった。
76人の内訳は、ニューヨーク市内の感染者は11人(+7)で、ウエストチェスター郡57人(+23)、ナッソー郡4人(+1)、ロックランド郡2人、サラトガ郡2人となっている。
ニューヨーク市の感染者数は、前日から7人増加した。このうち2人は最近クルーズ船から下船した人物で、5人は感染経路が不明な市中感染と考えられている。またこのうち1名は医療施設に入院している。
感染者の多くが、先週感染が確認されたウエストチェスター郡ニューロシェル(New Rochelle)在住の弁護士(50)に関連するものとみらる。男性は一時重症が報じられていたが、回復に向かっている。
クオモ州知事によると、ウエストチェスター郡で新たに感染が確認された23人は、すべて弁護士と関連がある人物だった。
同郡の学校(SAR school、Westchester Day School、Westchester Torah Academy)は3月14日まで閉鎖する予定だと発表した。
高値販売は違法に
緊急事態宣言により、新型コロナウイルスの防止対策に必要な、除菌用ローションや家庭用の清掃道具などの商品を不当な高値で販売するのは違法行為となる。州のホットライン(1-800-697-1220)に寄せられた苦情に対し、消費者保護課は調査することができる。
医療器具の調達や検査、施設の賃貸など以下のプロセスが迅速化されると発表した。
- 清掃道具や消毒剤の調達の迅速化
- 医師や看護婦以外の有資格者による検査の実施の迅速化
- 検査器具などの調達の迅速化
- 研修の迅速化
- 研究施設の賃貸の迅速化
- EMSが患者を病院以外の隔離場所に移送することが可能に
- 価格の吊り上げに対する当局の調査を可能に
クオモ州知事は、検査する人を今後も積極的に増やしていく計画を発表。今後も検査の数に応じて、感染者数が増える可能性があると述べ、80%以上の感染者は軽傷で自然に治癒するとして、パニックにならないよう注意を呼びかけた。
経過観察は4,000人以上
7日時点で経過観察を行っている人の数は発表していない。昨日の発表によると、現在州全体で約4,000人が予防措置として隔離を要請されており、44人が隔離を義務付けらている。4,000人のうち2,700人はニューヨーク市内で、1,000人がウエストチェスターの居住者だという。
PIX11によると、まもなく中国やイタリア、イラン、韓国、日本に滞在中の留学生73人がJFK国際空港に到着する。クオモ州知事は先週、5カ国に留学中のニューヨーク州立大学(SUNY)と同市立大学(CUNY)に対して帰国させると発表していた。留学生らは、14日間の自発的な自宅待機を求められる。
ニューヨークタイムズによると7日時点の米国での感染者数は300人以上、死亡者は少なくとも17人となっている。
- ニューヨーク州 コロナウイルスに関するホットライン(1-888-364-3065)
- ニューヨーク州 新型コロナウイルス情報サイト
- ニューヨーク市 コロナウイルスに関する問い合わせ先(311)
保健当局は、咳や熱、息切れなどの症状がある場合は、直接医療機関に向かわず、事前に電話で症状や渡航歴について相談するよう呼びかけている。