老人ホーム死者数問題、NY州議会議員 クオモ氏から「破滅させる」と脅された

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ニューヨーク州議会のロン・キム(Ron Kim)下院議員(民主 クイーンズ)は、クオモ政権の高齢者施設の死者数データの扱いに関するニューヨークポスト紙の記事に掲載された自身のコメントを巡って、クオモ氏から「破滅させる」と脅されたという。ニューヨークタイムズが伝えた。

ポスト紙は11日、クオモ氏の側近のメリッサ・デローサ氏が民主党州議会議員らとの電話会議の中で、高齢者施設の新型コロナウイルスの死者数に関するデータの報告が遅れた問題について、データがトランプ政権に政治利用されることを避けるために「凍結した」と説明したと報道。会議に参加していたキム氏は、デローサ氏の説明は「不利な証拠をごまかそうとしたのを認めたように聞こえた」とコメントしていた。

報道後、クオモ政権はデータを隠蔽しようとしていたとして、クオモ氏の辞任や調査を求める声が上がった。

キム氏によると11日の夜にクオモ紙から電話があった。ちょうど子供たちを入浴させようとしている時だったという。

クオモ氏は「君は善人か」と切り出し、10分間にわたって怒鳴り続けたという。キム氏は「(クオモ氏は)いかに私が彼の怒りを理解していないかと話し始め、私を破滅させる、明日、いかに私が悪い人間であるかを公に言って、私は終わりになる」と話したと説明。「いかに長い間、彼が私に我慢してきたか」などと告げられたと述べた。「怒鳴りっぱなしで、心地のよい口調ではなかった」と語った。

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キム氏は、デローサ氏の立場を気の毒に思い、電話を受ける前にポスト紙にコメントを削除するように求めていたという。

電話の中で、クオモ氏は、キム氏に新たに声明を出すよう求め、議会に対して高齢者施設のデータを保留した理由は、司法省の要求に応じるのに忙しかったからだと言って欲しいと述べた。キム氏は、自分が聞いたものと矛盾する説明をしたくないとして、声明を出さなかった。

13日にもクオモ氏から4回電話があったが、応じなかった。キム氏は現在、弁護士を雇い、知事室に弁護士を通じて連絡するよう伝えたという。

キム氏の話に対し、クオモ政権のリッチ・アゾパルディ(Rich Azzopardi)上級顧問は、知事のホームページを通じて「嘘をついている」と声明を発表した。

アゾパルディ氏は、クオモ氏が電話した際に部屋の中にいたとした上で、「怒り」で「破滅させる」と脅していないと説明。さらにキム氏の政権に対する嘘は長年のパターンで、「われわれは立派な行いをして、真実の声明を発表するよう要求した」と述べた。

また「キム氏は話を訂正すると答えたが、約束を破り、根拠なく政権を非難した」と続け、キム氏の現在の声明はデローサ氏との会議内の発言と一致さえしていないと主張。「彼に信頼性がないことは、彼の言葉が示す通りだ」と攻撃した。

さらに「キム氏と知事室は、長らく敵対関係にあった」とし、過去、ネイルサロンの法案を巡って、サロンオーナーらから資金を受け取ったのちに180度立場を変えたと指摘。キム氏は現在も資金を受け取っており、非倫理的であり、調査されれば違法性が判明するだろうと述べた。

クオモ氏自身も同日の会見で、キム氏に対する反論に時間を割き、ネイルサロンの法案を巡って長らく敵対的な関係にあったと主張。キム氏は電話では声明を出すと話したが、しなかったと述べ、「キム氏の信頼性はこのようなものだ。私は電話で、政治には誠実や品位があるのだと話した」と語った。