NFL選手が反発 大統領の国歌斉唱中の起立拒否の非難受け

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24日、シーズン第3週を迎えた米プロフットボールリーグの試合において、100名を超える選手達が、国歌斉唱中の起立や参加を拒否、または腕を組むなどして大統領への抗議を表明した。

抗議は、22日にアラバマ州で開催した集会におけるトランプ大統領の発言と、それに続く一連のツイートに対して行われた。

CNNによると、大統領は、昨年元San Francisco 49ersのスター選手、コリン・キャパニック(Colin Kaepernick)のことを暗に指しているという。大統領は、抗議のために膝をつくような「son of a bitch」(*スラング、クソ野郎)は、オーナーが「クビ!」を宣告すべきだと主張している。
コリン・キャパニックは昨年、試合の前の国家斉唱の際、起立を拒否し、人種差別に対して抗議を行った。その行為には賛否の声が上がった。8月に黒人や有色人種を虐げる国の国旗には、敬意を示さないとNFLのメディアに語っている。

大統領は、翌日のツイッターで、国歌斉唱の起立を拒否する選手を解雇するべきと改めて非難したほか、ファンに試合観戦のボイコットを呼びかけるような内容を発信している。

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24日、ロンドンのウェンブリースタジアムで開催されたジャクソンビル・ジャガーズ(Jacksonville Jaguars) 対 ボルチモア・レイブンズ(Baltimore Raven)戦では、国歌斉唱に際してオーナーらも一緒に、膝をついたり、互いに腕を組んだりするなどし、大統領への抗議とチームの連帯感を表明した。

また、ピッツバーグ・スティーラーズ(Pittsburgh Steelers)、シアトル・シーホークス(Seattle Seahawks)、テネシー・タイタンズ(Tennessee Titans)など複数のチームの選手らは、国歌斉唱時にフィールドに姿を現さなかった。

デトロイト・ライオンズ対アトランタファルコンズ戦に先立ち、国家を斉唱した歌手のRico Lavelle氏は、歌い終えると同時に膝をつき、腕をつきあげた。

ニューヨークのアップステートで行われたデンバー・ブロンコス(Denver Broncos)対バッファロービルズ(Buffalo Bills)の試合でも、の多くの選手が同様のジェスチャーを行った。

これらの広がる抗議の声に対し、多くのチームオーナーやNFL代表者らは、連帯や表現の自由を強調し、選手達を支持する意向を表明。

NFLコミッショナー-ロジャー・グッデル氏は、「NFLと我々の選手は、国家と文化に連帯感をもたらそうと、ベストをつくしている」と述べ、「これら分裂を起こそうとする発言は、NFL、試合、選手に対する尊敬を欠き、我々のコミュニティーを代表する選手とクラブに対する、圧倒的な力を理解できていないことを示している」と非難した。

また、NFL選手協会のエグゼクティブ・ディレクターのデモーリス・スミス氏は、「市民としての我々の選手に与えられた憲法で保証された権利を守り、大きな危険をともなう試合で競い合う選手の安全を守ることに際し、この組合は決して後退することはない。」と、選手達を強くサポートする意を示した。

この動きは、NFL選手以外にも広がりを見せている。

23日には、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King, Jr.)牧師の娘、バーニス・キング氏(Bernice King)が、キング牧師が膝をつき、抗議をする写真を投稿した。
「真に恥ずべきことと軽蔑すべきは、この最初の写真の数十年後に、未だに人種差別主義が人々とシステムを崩壊させているということです。」とコメントしている。

24日(土)ニューヨークのセントラルパークで行われた音楽フェスティバルで、スティービーワンダーも膝をついて、人種差別への抗議を行った。

スティービーワンダー NY野外フェスで抗議「私もアメリカのため膝をつく」

賛同を示す人もある一方で、拒否した選手に対して、ブーイングを浴びせる観客も多い。
「先祖は星条旗の元、命をかけて戦ってきた。」「この国に敬意を示さないなら、ファンを辞める。」人種差別に抗議し、国家斉唱で起立しないNFL選手に対し、シーズンチケットやグッズを燃やし抗議する人が現れる事態に発展。
国民的スポーツにも対立の影を落としているようだ。