「アメリカン航空は要注意」米人権団体NAACPが黒人に呼びかけ

1909年に創設され、米国で最も歴史のある人権団体、全米黒人地位向上協会(NAACP)は、24日(火)アメリカン航空(American Airlines)で旅行するアフリカ系アメリカ人に対し、差別及び危険に遭遇する恐れがあるとして、トラベルアドバイザリー(旅行警告)を発令した。

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21日にNAACPの代表兼CEOに就任したデリック・ジョンソン(Derrick Johnson)氏は、アフリカ系アメリカ人の乗客が、席を強制的に変更されたり、飛行機から降機させられたという4件の具体的な事例を挙げ、「アメリカン航空の人種差別に対する配慮のなさや、潜在的な人種への偏見といった企業文化が存在する。」とプレスリリースで指摘している。

今回指摘された差別の事例は以下の通り。
・無作法を働いた2人の白人女性に反論したアフリカ系アメリカ人は、降機するよう求められた。
・白人男性とともにファーストクラスに搭乗しようとしたアフリカ系アメリカ人が、彼女のみ後方の座席に変更させられた。
・シートの変更について質問をすると降機させられた。
・子供連れの母親がストローラーについてパイロットと議論した後、降機させられた

これらは、2016年4月から2017年10月までの18ヶ月間に寄せられたレポートを元にしたもので、航空会社の中でも、数が多かったアメリカン航空を対象に、同機利用への注意勧告を呼びかける行動に至ったと説明している。

また、NAACPは、アメリカン航空で同様の被害にあった人に対し、ホームページを通じて同団体に連絡するよう呼びかけている。

ニューヨークタイムズ紙は、NAACPのリリースに上げられた4人にインタビューをしたところ、3人は事実を認め、1名からは回答を得られなかったと報道している。

アメリカン航空の反応

広報担当のシャノン・ギルソン(Shannon Gilson)氏は、声明で「残念に思っている」とし、「私たちのチームメンバー、多様性に富んだコミュニティーでもあるゲートエージェント、パイロット、フライトアテンダント、すべてのバックグラウンドを持つお客さまに対して、サービスをすることを誇りに思っています。」とし、「常に、同社の飛行機で旅をするお客さま全てが、信頼のある、安全な旅を経験されることをお約束しています。」と発表した。
また、ギルソン氏は、NAACPの代表をテキサス州のフォートワースにあるアメリカン航空の本社に招いて、この問題について話し合いたいとしている。

アメリカン航空の会長兼CEOのダグ・パーカー(Doug Parker)氏は、従業員に対し、「同社のミッションはNAACPと同様で、いかなる差別も容認しない。」と、署名入りでメッセージを送った。

NAACPの方針変更

全米黒人地位向上協会は、1909年に設立されたアメリカで最も古い人権組織の一つだが、今回のような旅行に関する警告という形態で注意を呼びかけるのは、長い組織の歴史の中でも2回目となる。今年8月、ミズーリー州においてアフリカ系アメリカ人が警察から職務質問をより多く受けていることや、人種差別に関わる問題に触れ、同州を旅行するアフリカ系アメリカ人やマイノリティに警告を発令し、注意を呼びかけた。

協会がこういった方針を変更する背景には、トランプ政権に対する警戒感がある。
ワシントン支部のディレクターを務めるヒラリー・シェルトン氏(Hilary Shelton)は、25日のインタビューで「ドナルド・トランプ氏の勝利により、国が変化したことを目のあたりにし、現実を踏まえ、我々は能力の改善をし、より実行力を有する必要性に直面している。」と述べ、「適宜、アプローチの仕方を変えていかなくてはならない」と語った。

また、ワシントンポスト紙によると、協会は資金調達に新たな力点を置き、政治問題ついてより自由に発言できるよう、税法上の組織登録を変更することを検討しているという。長年ミシシッピでアクティビストとして活躍してきたデリック・ジョンソン氏は、10月21日に、会長兼務CEOに任命された。

ジョンソン氏は、ロビー活動や翌年の選挙において候補者の支援を積極的に行うため、現行の慈善団体(501(c)3 charity) から 社会福祉団体( 501(c)4 social welfare group)へと変更する、と発表している。